9月の製造業生産数量9.1%増、18カ月ぶりの高い伸び

設備稼働率74.3%、コロナ禍以降での最高水準に

2023/11/10

 フィリピン統計庁(PSA)は11月9日、主要製造業951社を対象に行われた2023年9月の「特定産業月次総合調査」(MISSI)速報を発表した。結果は回答企業666社、回答率70.0%)のものであり、後日かなり改訂される可能性がある。

 製造業活動状況   (対前年同月上昇率 単位:%)
全製造業 2022年9月 2023年8月 2023年9月
生産指数   (2018年=100)
金額 12.6 7.5 8.9
数量 4.5 6.8 9.1
純販売指数  (2018年=100)
金額 22.8 -0.7 -0.4
数量 14.1 -1.3 -0.2
生産者物価指数 (2018年=100) 7.7 0.6 -0.2
(出所:PSA資料より作成、2023年9月は速報値)

<生産指数>
 2023年9月の製造業生産額指数(VaPI)は前年同月比(以下、同様)8.9%上昇となり、前月(7.5%)から上昇ペースが加速したが、前年同月(12.6%)からは減速した。9月の前年同月比上昇率(年間伸び率)が前月から加速した主な理由は、コークス・石油精製製品部門の年間伸び率が66.9%と前月の39.2%から急加速したこと。同部門は主要製造業の22産業部門のうち、VaPI計算において5番目に比重の大きい産業であり、9月のVaPI上昇傾向に49.7%寄与した。

 9月の生産量指数(VoPI)は9.1%の上昇となり、前月(6.8%)及び前年同月(4.5%)から上昇ペースが加速した。寄与した上位3部門は、コークス・石油精製製品部門、コンピューター・電子製品・光学製品、一次金属など。残り19産業部門のうち5部門が前年同月比で上昇を記録した。

 全製造業の生産指数前年比上昇率の推移 (2018年=100、単位:%)
2022年 2023年
9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
金額 12.6 14.5 13.2 10.1 13.7 7.0 8.2 9.7 8.2 2.9 3.9 7.5 8.9
数量 4.5 6.7 6.4 4.5 8.5 2.9 5.1 6.9 5.7 2.2 3.9 6.8 9.1
(出所:PSA資料より作成、23年9月は速報値)

<純販売指数>
 2023年9月の純販売額指数(VaNSI)は前年同月比0.4%の低下にとどまり、前月の0.7%低下から上向いたものの依然マイナスにとどまり、4カ月連続の下落となった。下落幅が縮小したのは、主にコークス・石油精製製品部門が8月の1.9%低下から17.7%上昇に転じたことによる。主要22産業部門のうち6部門が前年同月から上昇した。

 純販売量指数(VoNSI)は前年同月比0.2%低下にとどまり、前月の1.3%低下から上向いた。主要22産業部門のうち8部門が前年同月を上回った。減少の鈍化に寄与した上位3部門は、コークス・石油精製製品、食品製造、飲料製造だった。

 全製造業の純販売指数前年比上昇率の推移 (2018年=100、単位:%)
2022年 2023年
9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
金額 22.8 28.0 19.7 14.0 15.5 5.3 -0.8 -2.9 2.7 -5.0 -4.0 -0.7 -0.4
数量 14.1 19.3 12.6 8.1 10.3 1.2 -3.6 -5.3 0.4 -5.7 -4.0 -1.3 -0.2
(出所:PSA資料より作成、23年9月は速報値)

<設備稼働率>
 調査回答企業のデータによると、9月の平均設備稼働率は74.3%(速報値)で前月の74.0%から上昇ペースが加速した。全ての回答企業が平均稼働率50%を超えた。特に稼働率が高かったのは、電気以外の機械設備部門(81.0%)、ゴム・プラスチック製品部門(80.1%)、コンピューター・電子製品・光学製品部門(79.4%)だった。稼働率が90%~100%と回答した企業は、全体(617社)のうち25.0%、稼働率70%~89%は40.0%、稼働率50%~69%は25.9%、50%以下は9.1%だった。

 製造業設備平均稼働率推移   (単位:%)
2022年 2023年
9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
稼働率 71.7 72.5 72.6 71.5 72.9 72.7 73.5 72.5 73.5 73.3 73.6 74.0 74.3
(出所:PSA資料より作成、23年9月は速報値)