10月の財政赤字、65%減の344億ペソに急減

10カ月間で8%減の1兆ペソ、基礎収支赤字5千億ペソ

2023/11/30

 フィリピン財務局は11月29日、10月の財政収支(速報値、以下同様)が344億ペソの赤字にとどまり、前年同月の赤字から65.27%(647億ペソ)減少したと発表した。年初10カ月では、累積財政赤字額は1兆0,179億ペソとなったが、前年同期から940億ペソ、率にして8.45%減少した。また、政府の設定した2023年通年の赤字上限である1兆4,990億ペソの67.88%の水準にある。

 10月の歳入は前年同月比33.56%増の3,858億ペソ。そのうち、内国歳入庁(BIR)は46.94%増の2,744億ペソ、関税局(BOC)は3.83%増の779ペソ。非税収の財務局(BTr)は26.99%増の168億ペソであった。一方、10月の歳出は8.32%増の4,202億ペソ。そのうち、利払い額は77.74%増の590億ペソ。

 また、10カ月間の歳入は前年同期比9.41%増の3兆2,236億ペソ。そのうち、内国歳入庁(BIR)は11.11%増の2兆1,325億ペソ、関税局(BOC)は3.47%増の7,383億ペソ。非税収の財務局(BTr)は22.31%増の1,748億ペソだった。一方、歳出は4.52%増の4兆2,415億ペソで、うち利払い額は19.84%増の5,191億ペソ、歳出全体の12.24%を占め、前年同期の10.67%から拡大した。

 歳出から歳入と利払い費を除外して算出されるプライマリーバランス(基礎収支)に関しては、10月は246億ペソの黒字となり、前年同月の赤字から黒字転換した。一方、10カ月間では4,988億ペソの赤字となり、前年同期から赤字が26.51%縮小した。

 2023年第3四半期(7月~9月)の財政赤字の対GDP比率は7.51%となり、前年同期の6.45%から上昇した。一方、2023年9カ月間(1月~9月)の財政赤字の対GDP比率は5.71%にとどまり、前年同期の6.50%から低下した。

 財政収支動向    (単位:億ペソ、%)
期間 10月 1-10月
22年 23年 伸び率 22年 23年 伸び率
歳入 2,889 3,858 33.6 29,463 32,236 9.4
 税収 2,635 3,547 34.6 26,525 28,961 9.2
   内国歳入庁 1,868 2,744 46.9 19,192 21,325 11.1
   関税局 751 779 3.8 7,135 7,383 3.5
   その他 17 24 43.7 197 253 28.4
 非税収 254 311 22.3 2,938 3,276 11.5
   財務局 132 168 27.0 1,429 1,748 22.3
   その他 122 143 17.2 1,509 1,528 1.3
歳出 3,879 4,202 8.3 40,581 42,415 4.5
  利払い 332 590 77.7 4,332 5,191 19.8
   その他 3,547 3,612 1.8 36,249 37,224 2.7
 
財政収支 -991 -344 赤字65%減 -11,118 -10,179 赤字8%減
プライマリーバランス -659 246 黒字転換 -6,787 -4,988 赤字27%減
(出所:フィリピン財務局資料より作成)

 フィリピン財政赤字と対GDP比率推移   (単位:億ペソ)
項目 年間実績推移
16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年9カ月間
財政赤字 3,534 3,506 5,583 6,602 13,714 16,701 16,141 9,835
対GDP比 2.3% 2.1% 3.1% 3.4% 7.6% 8.6% 7.3% 5.7%
(出所:フィリピン財務局資料より作成)