PSE上場の日系子会社や合弁企業、業績堅調
増益率:比パナソニック22倍、比トヨタ2.6倍、PAL2.2倍
2023/12/01
フィィリピン証券取引所(PSE)上場企業の2023年9カ月間(1月~9月)や2023年度上半期(4月~9月)の決算発表が出揃った。PSE上場の日系企業や提携先の比上場企業の決算資料などから入手できる主な日系企業の業績概要は以下のとおり。なお、決算の詳細は個別にレポート済みである。
1.PSE上場の日系子会社の動向
<パナソニック マニュファクチャリング(PMPC、会計期末は3月末)、4月~9月は22倍増益>
今年創業60周年のPMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2023年6月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。会計期末が3月であり、他の多くの企業と異なり、4月~9月期が上半期となる。2023年度第1四半期の売上高は前年度同期比6.5%減の69億5,749万ペソ。前年度同期の34%増という大幅増収の反動で小幅減少となったが、コスト節減などで純利益は2,140%増(約22.4倍)の9,799万ペソへと大幅増加した。
(出所:PMPC事業報告書などより作成)
<マブハイビニール (MVC社、東ソー子会社)、9カ月間28%増益に>
MVC社は1934年にマブハイラバー社として設立され、1965年から苛性ソーダの生産・販売を開始し、1966年に現在の社名に変更した。その後、フィリピンにおける苛性ソーダの需要拡大に伴い生産増強を行っており、フィリピン唯一の電解メーカーとして、その地位をより確固たるものとしてきている。1997年2月にPSEに上場した。東ソーは2015年にMVC社を子会社化、2023年9月末の保有比率は87.975%となっている。三菱商事もMVC社への出資を継続(2023年9月末で6%を保有)するとともに、原料の塩類を供給してきている。
2023年9カ月間(1月~9月)の売上高は前年同期比(以下同様)2.9%減の23億1,223万ペソ。小幅減収ではあったが、比較となる前年同期が54%増収と非常に高い伸びであったことによるもので、依然売上は堅調に推移したといえる。コスト節減などで粗利益は8.7%増の9億3,742万ペソ、営業利益は16.3%増の4億4,525万ペソ、帰属純利益は27.9%増の3億6,728万ペソに達した。2022年年間の46%増収45%増益という好決算に続いての堅調な業績推移となっている。
2.PSE上場現地企業と日系企業の合弁企業動向
<トヨタや三井物産出資のトヨタモーター フィリピン、帰属純利益2.6倍の109億ペソ>
GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)が株式51%を保有、49%をトヨタ自動車や三井物産等が保有するトヨタモーター フィリピン(TMP)の9カ月間の売上高は22%増の1,628億ペソに達した。二桁増収効果、円安効果、高採算車の販売比率上昇などで、粗利益率が13.8%へ大幅上昇(前年同期9.3%)した。営業費用抑制効果もあって、営業利益は146.1%増の142億ペソ、帰属純利益は158.5%増(約2.6倍)の109億ペソへと大幅増加した。収益ともに9カ月間ベースで最高となった。市場シェアは47.1%で断トツであった。
表2.トヨタモーター フィリピン9カ月間(1月~9月)の業績推移(単位:百万ペソ)
(出所:GTキャピタルの9カ月間事業報告書などより作成)
<日清食品の即席麺合弁企業のニッシンURC、33%増益>
日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル ロビーナ コーポレーション(証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ コーポレーション」(ニッシンURC)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。
9カ月間の売上高はカップヌードルの需要好調や値上げ効果で9%増の78億6,400万ペソに達した。EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は35%増の15億9,800万ペソ、純利益は33%増の10億4,600万ペソと二桁増益決算となった。巣篭り需要の稀薄化、コスㇳ上昇という環境下でも、収益拡大基調が続いている。
表3.ニッシンURCの9カ月間業績比較(単位:百万ペソ)
(出所:URC9カ月間事業報告書から作成、伸び率は前年同期比)
<キリン出資のサンミゲルビール(サンミゲルブリュワリー、SMB)、20%増益>
9カ月間の売上高は、効果的なマーケティング・キャンペーンや販促強化などにより9%増の1,083億ペソ、1,000億ペソの大台を突破した。国内売上高は9%増の963億ペソ、国際ビール事業の売上高も9%増収となった。増収効果や効率化などにより、EBITDAは12%増の294億ペソ、純利益は20%増の194億ペソへと二桁増加した。サンミゲルビールには、キリン ホールディングス(キリン)が約48%出資している。
3.日系マイノリティ出資のPSE上場企業動向
<NTTグループ出資のPLDT、3%増収、1%増益>
普通株式ベースでNTTドコモが10.55%、NTTコミュニケーションズが5.85%出資(2023年9月末現在)、すなわち、NTTグループが普通株だけで16.4%を保有している当地最大の通信企業であるPLDT(証券コード:TEL)の9カ月間の総収入は3%増の1,564ペソ、帰属純利益は1%増の279億ペソ。一時的損益等を除いた通信事業のコア利益は2%増の261億ペソだった。通信需要の伸び率鈍化や競争激化で収益ともに小幅増にとどまった。ただ、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は4%増と小幅増ながら784億ペソで、9カ月間決算としては過去最高となった。
<住友鉱出資のニッケル アジア、10%減収、47%減益>
住友金属鉱山が26%の権益を保有する当地最大のニッケル鉱山企業であるニッケル アジア(証券コード:NIKL)の9カ月間の収入は、10%減の193億ペソ、帰属純利益は47%減の36億ペソにとどまった。ニッケル鉱石販売量は5%増の1,301万トンに達したが、インドネシアの増産や中国等の経済の減速などによるニッケル鉱石価格下落が響いた。
<三菱商事出資のアヤラコーポレーション、35%増益、実質42%増益>
名門アヤラ財閥の旗艦企業であり三菱商事が約6.6%出資するアヤラコープ(証券コード:AC)の上半期の総収入は12%増の2,082億ペソ、純利益は26%増の447億ペソ、帰属純利益は35%増の323億ペソと二桁増収増益決算となった。前年同期は、通信部門のグローブテレコム(GLO)のデータセンター事業の一部売却益が計上されており、このような一時的損益を除外したコア帰属純利益は42%増の310億ペソ、すなわち、実質42%増益となった。不動産部門のアヤラランド(ALI)、金融部門のバンク オブ ザ フィリピン アイランズ(BPI)、発電子会社のACEN コーポレーション(ACEN)の堅調な業績が寄与した。
<三菱UFJ銀行出資のセキュリティバンク、純金利収入12%増加、12%減益>
三菱UFJ銀行が20%出資する有力銀行であるセキュリティバンク(証券コード:SECB)の9カ月間の純営業収入は6%増の312億ペソ。主力の融資業務などによる純金利収入が12%増の247億ペソ二桁増加した。しかし、非金利収入が13%減少したこと、貸倒引当積み増しなどで帰属純利益は12%減の76億ペソにとどまった。バーゼル3基準のリスク加味自己資本比率(CAR)は16.3%、普通株式中核自己資本比率(CET1)は15.5%と良好である。
<三井住友銀行出資のRCBC、総資産1兆2,000億ペソ、店舗数459店>
今年7月に三井住友銀行が出資比率を20%に高めたユーチェンコ財閥傘下の有力銀行であるリサール商業銀行(証券コード:RCBC)の9カ月間の純収入は3.9%増の360億ペソ。主力の純金利収入が1.2%増の242億ペソ、非金利収入が10%増の117億ペソ。一方、総費用は18.7%増の269億ペソ。これらの結果、帰属純利益は10.2%減の90億ペソにとどまったが、前年同期には多額の一時的収益が計上されていた。9月末の総資産は前年同期末比11.7%増の1兆2,002億ペソに達した。全国に459支店、現金自動預払機(ATM)1,448台、3,426 ATM Goターミナルを有している。
<ANA出資のフィリピン航空持株会社、38%増収、2.2倍増益>
ANAホールディングス(ANA)が2019年2月に9.5%出資したフィリピン航空の持株会社であるPALホールディングス(証券コード:PAL)の9カ月間の収入は38%増の1,346億ペソ、旅客収入は51%増の1,201億ペソ。費用が28%増加にとどまったこともあって、純利益は124%増(2.2倍)の193億ペソ、帰属純利益も124%増の152億ペソに達した。外出・移動制限ほぼ撤廃や経済再開本格、リベンジ旅行需要などにより、大幅増収増益決算となった。
<JERA出資のアボイティス パワー 、14%増収、実質45%増益>
JERAが27%出資する大手電力企業であるアボイティスパワー(証券コード:AP)の9カ月間の収入は14%増の1,546億ペソ、帰属純利益は37%増の267億ペソ。一時的損益を除くコア純利益は45%増の267億ペソ、すなわち、実質45%増益であった。9カ月間の電力販売量は、家庭用が7%増、商業・工業用が6%増とそれぞれ増加し、合計4,569GWh(ギガワット時)となった。
1.PSE上場の日系子会社の動向
<パナソニック マニュファクチャリング(PMPC、会計期末は3月末)、4月~9月は22倍増益>
今年創業60周年のPMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2023年6月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。会計期末が3月であり、他の多くの企業と異なり、4月~9月期が上半期となる。2023年度第1四半期の売上高は前年度同期比6.5%減の69億5,749万ペソ。前年度同期の34%増という大幅増収の反動で小幅減少となったが、コスト節減などで純利益は2,140%増(約22.4倍)の9,799万ペソへと大幅増加した。
表1.パナソニック マニュファクチャリング フィリピンの上半期業績比較(単位:万ペソ)
項目 | 19年上半期 | 20年度上半期 | 21年度上半期 | 22年度上半期 | 23年度上半期 | 増減率 |
売上高 | 622,825 | 446,000 | 556,953 | 744,025 | 695,749 | -6.5% |
粗利益 | 108,998 | 79,846 | 88,935 | 92,982 | 105,133 | 13.1% |
税引前利益 | 19,304 | 10,775 | 17,684 | 3,162 | 14,541 | 359.9% |
所得税費用 | 5,443 | 6,069 | 6,282 | 2,724 | 4,742 | 74.1% |
純利益 | 13,861 | 4,706 | 11,401 | 437 | 9,799 | 2140.2% |
<マブハイビニール (MVC社、東ソー子会社)、9カ月間28%増益に>
MVC社は1934年にマブハイラバー社として設立され、1965年から苛性ソーダの生産・販売を開始し、1966年に現在の社名に変更した。その後、フィリピンにおける苛性ソーダの需要拡大に伴い生産増強を行っており、フィリピン唯一の電解メーカーとして、その地位をより確固たるものとしてきている。1997年2月にPSEに上場した。東ソーは2015年にMVC社を子会社化、2023年9月末の保有比率は87.975%となっている。三菱商事もMVC社への出資を継続(2023年9月末で6%を保有)するとともに、原料の塩類を供給してきている。
2023年9カ月間(1月~9月)の売上高は前年同期比(以下同様)2.9%減の23億1,223万ペソ。小幅減収ではあったが、比較となる前年同期が54%増収と非常に高い伸びであったことによるもので、依然売上は堅調に推移したといえる。コスト節減などで粗利益は8.7%増の9億3,742万ペソ、営業利益は16.3%増の4億4,525万ペソ、帰属純利益は27.9%増の3億6,728万ペソに達した。2022年年間の46%増収45%増益という好決算に続いての堅調な業績推移となっている。
2.PSE上場現地企業と日系企業の合弁企業動向
<トヨタや三井物産出資のトヨタモーター フィリピン、帰属純利益2.6倍の109億ペソ>
GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)が株式51%を保有、49%をトヨタ自動車や三井物産等が保有するトヨタモーター フィリピン(TMP)の9カ月間の売上高は22%増の1,628億ペソに達した。二桁増収効果、円安効果、高採算車の販売比率上昇などで、粗利益率が13.8%へ大幅上昇(前年同期9.3%)した。営業費用抑制効果もあって、営業利益は146.1%増の142億ペソ、帰属純利益は158.5%増(約2.6倍)の109億ペソへと大幅増加した。収益ともに9カ月間ベースで最高となった。市場シェアは47.1%で断トツであった。
表2.トヨタモーター フィリピン9カ月間(1月~9月)の業績推移(単位:百万ペソ)
項目 | 21年9カ月間 | 22年9カ月間 | 23年9カ月間 | 伸び率 |
売上高 | 94,346.2 | 133,414.2 | 162,756.7 | 22.0% |
粗利益 | 11,097.8 | 12,403.8 | 22,389.3 | 80.5% |
営業利益 | 5,478.5 | 5,758.6 | 14,170.1 | 146.1% |
帰属純利益 | 4,432.3 | 4,210.0 | 10,882.1 | 158.5% |
<日清食品の即席麺合弁企業のニッシンURC、33%増益>
日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル ロビーナ コーポレーション(証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ コーポレーション」(ニッシンURC)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。
9カ月間の売上高はカップヌードルの需要好調や値上げ効果で9%増の78億6,400万ペソに達した。EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は35%増の15億9,800万ペソ、純利益は33%増の10億4,600万ペソと二桁増益決算となった。巣篭り需要の稀薄化、コスㇳ上昇という環境下でも、収益拡大基調が続いている。
表3.ニッシンURCの9カ月間業績比較(単位:百万ペソ)
項目 | 20年9カ月 | 伸び率 | 21年9カ月 | 伸び率 | 22年9カ月 | 伸び率 | 23年9カ月 | 伸び率 |
売上高 | 5,555 | +17% | 5,827 | +5% | 7,209 | +24% | 7,864 | +9% |
EBITDA | 1,129 | +23% | 1,182 | +5% | 1,183 | 横這い | 1,598 | +35% |
純利益 | 690 | +19% | 763 | +11% | 786 | +3% | 1,046 | +33% |
<キリン出資のサンミゲルビール(サンミゲルブリュワリー、SMB)、20%増益>
9カ月間の売上高は、効果的なマーケティング・キャンペーンや販促強化などにより9%増の1,083億ペソ、1,000億ペソの大台を突破した。国内売上高は9%増の963億ペソ、国際ビール事業の売上高も9%増収となった。増収効果や効率化などにより、EBITDAは12%増の294億ペソ、純利益は20%増の194億ペソへと二桁増加した。サンミゲルビールには、キリン ホールディングス(キリン)が約48%出資している。
3.日系マイノリティ出資のPSE上場企業動向
<NTTグループ出資のPLDT、3%増収、1%増益>
普通株式ベースでNTTドコモが10.55%、NTTコミュニケーションズが5.85%出資(2023年9月末現在)、すなわち、NTTグループが普通株だけで16.4%を保有している当地最大の通信企業であるPLDT(証券コード:TEL)の9カ月間の総収入は3%増の1,564ペソ、帰属純利益は1%増の279億ペソ。一時的損益等を除いた通信事業のコア利益は2%増の261億ペソだった。通信需要の伸び率鈍化や競争激化で収益ともに小幅増にとどまった。ただ、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は4%増と小幅増ながら784億ペソで、9カ月間決算としては過去最高となった。
<住友鉱出資のニッケル アジア、10%減収、47%減益>
住友金属鉱山が26%の権益を保有する当地最大のニッケル鉱山企業であるニッケル アジア(証券コード:NIKL)の9カ月間の収入は、10%減の193億ペソ、帰属純利益は47%減の36億ペソにとどまった。ニッケル鉱石販売量は5%増の1,301万トンに達したが、インドネシアの増産や中国等の経済の減速などによるニッケル鉱石価格下落が響いた。
<三菱商事出資のアヤラコーポレーション、35%増益、実質42%増益>
名門アヤラ財閥の旗艦企業であり三菱商事が約6.6%出資するアヤラコープ(証券コード:AC)の上半期の総収入は12%増の2,082億ペソ、純利益は26%増の447億ペソ、帰属純利益は35%増の323億ペソと二桁増収増益決算となった。前年同期は、通信部門のグローブテレコム(GLO)のデータセンター事業の一部売却益が計上されており、このような一時的損益を除外したコア帰属純利益は42%増の310億ペソ、すなわち、実質42%増益となった。不動産部門のアヤラランド(ALI)、金融部門のバンク オブ ザ フィリピン アイランズ(BPI)、発電子会社のACEN コーポレーション(ACEN)の堅調な業績が寄与した。
<三菱UFJ銀行出資のセキュリティバンク、純金利収入12%増加、12%減益>
三菱UFJ銀行が20%出資する有力銀行であるセキュリティバンク(証券コード:SECB)の9カ月間の純営業収入は6%増の312億ペソ。主力の融資業務などによる純金利収入が12%増の247億ペソ二桁増加した。しかし、非金利収入が13%減少したこと、貸倒引当積み増しなどで帰属純利益は12%減の76億ペソにとどまった。バーゼル3基準のリスク加味自己資本比率(CAR)は16.3%、普通株式中核自己資本比率(CET1)は15.5%と良好である。
<三井住友銀行出資のRCBC、総資産1兆2,000億ペソ、店舗数459店>
今年7月に三井住友銀行が出資比率を20%に高めたユーチェンコ財閥傘下の有力銀行であるリサール商業銀行(証券コード:RCBC)の9カ月間の純収入は3.9%増の360億ペソ。主力の純金利収入が1.2%増の242億ペソ、非金利収入が10%増の117億ペソ。一方、総費用は18.7%増の269億ペソ。これらの結果、帰属純利益は10.2%減の90億ペソにとどまったが、前年同期には多額の一時的収益が計上されていた。9月末の総資産は前年同期末比11.7%増の1兆2,002億ペソに達した。全国に459支店、現金自動預払機(ATM)1,448台、3,426 ATM Goターミナルを有している。
<ANA出資のフィリピン航空持株会社、38%増収、2.2倍増益>
ANAホールディングス(ANA)が2019年2月に9.5%出資したフィリピン航空の持株会社であるPALホールディングス(証券コード:PAL)の9カ月間の収入は38%増の1,346億ペソ、旅客収入は51%増の1,201億ペソ。費用が28%増加にとどまったこともあって、純利益は124%増(2.2倍)の193億ペソ、帰属純利益も124%増の152億ペソに達した。外出・移動制限ほぼ撤廃や経済再開本格、リベンジ旅行需要などにより、大幅増収増益決算となった。
<JERA出資のアボイティス パワー 、14%増収、実質45%増益>
JERAが27%出資する大手電力企業であるアボイティスパワー(証券コード:AP)の9カ月間の収入は14%増の1,546億ペソ、帰属純利益は37%増の267億ペソ。一時的損益を除くコア純利益は45%増の267億ペソ、すなわち、実質45%増益であった。9カ月間の電力販売量は、家庭用が7%増、商業・工業用が6%増とそれぞれ増加し、合計4,569GWh(ギガワット時)となった。