金融取引統合(株式と債券)構想が前進

SEC、PSEの債券取引所買収を承認

2023/12/22

 長年の懸案であるフィリピンにおける株式、債券など金融取引機関統合化構想が前進した。

 現在フィリピンでは、株式や株式に絡んだ派生商品(ワラントなど)の上場、売買はフィリピン証券取引所(PSE)が担当している。一方、債券や固定利付き商品の上場、売買等に関しては、フィリピン・デーリング・システム・ホールディングス社(PDS)傘下の電子取引所(PDEx)が担当している。

 現在のPDSの株主構成は、フィリピン銀行協会(BAP)21.01%、PSE 20.99%、シンガポール証券取引所(SGX)20%、タタ コンサルタンシーサービス(TCS)アジア8%、ウィスラー テクノロジーサービス8%、サンミゲル4%、フィリピン アメリカンライフ&ジェネラルインシュアランス(フィーラムライフ)4%などである。

 2013年にPSEとPDS合併による金融取引統合化構想が浮上した。しかし、双方とも株主構成が多様であることもあって、その交渉には長い時間が費やされてきた。一時は、PSEによるPDS保有比率95%構想が進み始めたこともあったが、PSEを監督するフィリピン証券取引委員会(SEC)の承認が得られず現在に至っている。PSEの出資に関する2規制が障害となってきている。

 しかし、SECは12月19日、PSEがPDS株式を追加取得し、原則100%まで保有することを承認した。この承認により、金融取引機関統合化構想が大きく前進した。