11月の失業率3.6%で過去最低、初の3%台に

11カ月平均4.5%(前年5.5%)、年間でも過去最低へ

2024/01/10

 フィリピン統計庁(PSA)は1月9日、2023年11月の労働力調査(LFS)速報を発表した。それによると、2023年11月の15歳以上の失業率は3.6%(速報値)で、前月(2023年10月)及び前年同月の4.2%から0.6%ポイント低下した。

 2023年11月の失業率3.6%は、2005年4月に現行集計基準を採用してからの18年半での最低記録であり、初の3%への低下となった。これまでの最低記録は前月と前年同月の4.2%であった。2023年11カ月間の平均失業率は4.5%で、前年同期の5.5%から更に低下した。年間でも、これまでの最低であったコロナパンデミック直前2019年の5.1%をかなり下回ることが確実である。

 2023年11月の15歳以上の人口は前年同月比1.6%増の7,811万人、労働力人口は同0.8%減の5,147万人。労働参加率は65.9%で前年同月の67.5%から低下したが、前月の63.9%からは上昇した。

 失業者数は前年同月比15.8%減の183万人。年齢層でみると、15歳-24歳が全体の34.0%、25歳-34歳が34.0%と合計で全体の68.0%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は29.9%(卒業者は22.8%)、大学進学・卒業者が43.1%(卒業者は33.4%)だった。性別では、男性52.4%、女性47.6%と男性が上回っている。

 就業者数は前年同月比0.1%減の4,964万人。業種別では、農業部門が24.6%(前年同月21.4%)、鉱工業部門が15.9%(同18.1%)、サービス部門が59.5%(同60.5%)だった。サブセクターで、年間増加数の多かった上位3業種は、農林業、建設業、輸送・倉庫(保管)業。最も減少した上位3業種は、製造業、卸売・小売業、自動車及びオートバイの修理、公務/国防/義務的社会事業。

 賃金労働者が就業者全体の61.5%を占め、その48.2%が民間企業労働者、8.8%が政府系企業社員・公務員。自営・事業主は全体の30.5%を占めた。週平均労働時間は40.2時間(前年同月39.3時間)。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の66.4%(同62.6%)。

 一方、不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者を含む)の数は前年同月比19.2%減の579万人、不完全就業率は11.7%(前年同月14.4%)。不完全就労者全体の57.5%が労働時間週40時間以下だった。

 フィリピンの失業率等の比較(単位:%)
全国 労働参加率 失業率 不完全就業率
2019年 61.3 5.1 13.8
2020年 59.5 10.3 16.2
2021年 63.3 7.8 15.9
2022年 64.7 5.4 14.2
 
2022年11月 67.5 4.2 14.4
12月 66.4 4.3 12.6
2023年 1月 64.5 4.8 14.1
2月 66.6 4.8 12.9
3月 66.0 4.7 11.2
4月 65.1 4.5 12.9
5月 65.3 4.3 11.7
6月 66.1 4.5 12.0
7月 60.1 4.8 15.9
8月 64.7 4.4 11.7
9月 64.1 4.5 10.7
10月 63.9 4.2 11.7
11月 65.9 3.6 11.7
11カ月間平均 64.7 4.5 12.4
(出所:PSA資料より作成、2022年12月以降全て速報値)