アイ・ピー・エス、フィリピンの通信事業基盤一段と拡充

今年度の国際通信事業49%増益予想、5年間で収益3倍と想定

2024/02/15

 日比等で先端技術活用の通信事業などを展開する株式会社アイ・ピー・エス(IPS、本社:東京都中央区)のフィリピンを中心とする国際通信事業基盤整備が進展している。

 このIPSの国際通信事業の収益は拡大基調を続けてきたが、2023年度9カ月間(2023年4月~12月)の業績は一服となった。今9カ月間の国際通信事業の売上高は前年度同期比9.2%減の39億5,000万円、営業利益は同47.7%減の6億5,900万円にとどまった。前年同期には国際通信回線C2C回線の大口IRU(破棄し得ない使用権)契約案件の入金による収益計上がなされたが、今9カ月間には計上がなかったという特殊要因や先行投資負担などによる。

 今9カ月間は特殊要因で二桁減収減益となったが、2023年度通年(2023年4月~2024年3月)では、フィリピン国内通信回線網整備進展効果顕在化などで計画を上回る収益計上が見込まれる。IPSでは、2023年度の売上高は前年度比33.2%増の85億円、営業利益は49.2%増の27億8,200万円と予想している。2023年12月に完成したフィリピン国内海底ケーブルプロジェクト(PDSCN)の収益計上が第4四半期から開始される。今後も、下記の様な通信基盤の更なる拡充による事業拡大や顧客拡大等による成長が続く見込み。IPSは2028年度の売上高200億円、営業利益50億円、すなわち、5年間で収益約3倍増と想定している。

 フィリピンでの通信事業は、2015年に出資したInfiniVAN, Inc.(インフィニVAN、所在地:タギグ市BGC)を通して展開されている。インフィニVANh2016年に制定されたフィリピン共和国法第10898号によりフィリピン国内で通信事業を営むことができる権利(フランチャイズ)を有する通信事業者である。固定通信のほか、無線通信サービスも提供することができる。また、フィリピン国家通信委員会より5G周波数割り当ても受けている。現在の主要な事業は、ルソン島のマニラ首都圏での法人向けインターネット接続サービス(ISP)、およびミンダナオ島・パナイ島における光ファイバー通信回線の敷設による、地域通信事業者・CATV事業者へのインフラ提供などである。

 IPSは過去最大の投資案件として、2022年7月よりインフィニVANを通じて、フィリピンの通信企業グローブ テレコム(証券コード:GLO)とイースタンテレコミュ二ケーションズ フィリピン(イースタンテレコム)と共同で、フィリピン国内海底ケーブルシステム(PDSCN)の建設を開始した。2023年4月に海底部分の建設が完了、全国140カ所の中継局網も2023年12月に完成した。すなわち、既存大手通信事業者と遜色のないネットワークが完成し、ハイパースケール事業者、CATV事業者、地方の通信事業者、地方の法人向け等への通信サービスの提供が全国規模で可能となりつつある。

 PDSCNは、ルソン島、ビサヤ諸島、ミンダナオ島を結ぶフィリピン国内を縦貫する回線で、その工事区間は24区間、ケーブルの長さは約2,500Km、人口カバー率は96%、総投資額は1億4,200万米ドル(原則3社均等)。別途、伝送装置やインフィニVAN単独の陸上部分の費用を合計すると、インフィニティVANの投資額合計は約6,500万米ドル。これを3-5年程度で回収する予定であり、順次IRU契約を積上げている。

 インフィニVANは、2023年7月7日、フィリピン最大の配電企業であるマニラ電力(メラルコ、証券コード:MER)の通信子会社ラディウス テレコム(ラディウス)との間で、互いの所有するアクセス光ファイバー(まずは一部)の相互開放に合意した。両社が所有しながら未使用のアクセス光ファイバーの一部を、相手方の希望ベースで開放していくものである。両社にとっては、サービス提供が可能なエリアやビルの拡大、サービス申込者への速やかな提供開始、資産の効率的活用などのメリットがある。

 更に、8月1日には、ソフトバンク株式会社の子会社のBBIXとの間で、フィリピンにおいてインターネットエクスチェンジサービスを提供する合弁会社BBIX Philippines, Inc.(BBIX PH、IPSの持分法適用会社)を設立することについて合意した。BBIX PHは、インフィニiVANとBBIXの相互の強みを活かし、フィリピンのインターネット接続環境の向上とインターネットユーザーに対するサービス品質の向上を目指す。