1月の失業率4.5%(前月3.1%)、3カ月ぶり4%台に上昇

季節要因や景気鈍化等で、不完全失業率は半年ぶり高水準

2024/03/10

   フィリピン統計庁(PSA)は3月8日、2024年1月の失業率が4.5%(速報値)となり、前年同月の4.8%からは0.3%ポイント低下したと発表した。ただし、前月(2023年12月)の3.1%から1.4%ポイント上昇、3カ月ぶりの4%台への上昇となった。

 なお、2023年12月の失業率3.1%は、PSAが2005年4月に現行の集計基準を採用してからの約19年間での最低記録となった。例年、年末にかけてはクリスマス商戦での雇用増という季節要因で失業率が低下しがちである。2023年11月も3.6%と低水準であった。2024年1月の失業率はこれらとの比較では上昇したが、歴史的には依然低水準といえる。

 2024年1月の15歳以上の人口は前年同月比2.0%増の7,866万人、労働力人口は同3.3%減の4,809万人。労働参加率は61.1%で、前年同月の64.5%および前月の66.6%から低下した。

 失業者数は前年同月比9.6%減の215万人。年齢層でみると、15歳-24歳が全体の37.4%、25歳-34歳が34.7%と合計で全体の72.1%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は33.9%(卒業者は25.0%)、大学進学・卒業者が38.3%(卒業者は27.9%)だった。性別では、男性58.3%、女性41.7%と男性が上回っている。

 就業者数は前年同月比3.0%減の4,594万人。業種別では、農業部門が21.4%(前年同月22.2%)、鉱工業部門が18.4%(同17.0%)、サービス部門が60.2%(同60.8%)だった。サブセクターで、年間増加数の多かった上位4業種は、建設業、輸送・倉庫、管理・支援サービス活動、漁業・水産養殖業。最も減少した上位4業種は、卸小売・自動車修理業、農林業、行政・防衛(社会事業)、製造業。

 賃金・給与労働者が就業者全体の67.1%を占めた。その中で、民間企業労働者が依然最も高い割合を占め、賃金・給与労働者全体の79.3%、就業者全体の53.2%を占めている。政府系企業社員・公務員が就業者全体の9.1%、自営・事業主は全体の28.3%を占めた。週平均労働時間は42.1時間(前年同月39.5時間)。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の71.8%(同63.4%)だった。

 一方、不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者を含む)数は前年同月比3.9%減の639万人。不完全就業率は13.9%(前年同月14.1%)で、2023年7月の15.9%以来、6カ月ぶりの高水準となった。不完全就労者全体の51.8%が労働時間週40時間以下だった。

 
フィリピン労働力調査(LFS)
項目 2023年1月 2023年12月 2024年1月
15歳以上人口(単位:千人) 77,105 78,212 78,655
労働力参加率(%) 64.5 66.6 61.1
就業率(%) 95.2 96.9 95.5
失業率(%) 4.8 3.1 4.5
不完全就業率(%) 14.1 11.9 13.9
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、2023年1月以外は速報値)

 
フィリピンの失業率等の比較(単位:%)
全国 労働参加率 失業率 不完全就業率
2019年 61.3 5.1 13.8
2020年 59.5 10.3 16.2
2021年 63.3 7.8 15.9
2022年 64.7 5.4 14.2
2023年 64.9 4.3 12.3
 
2023年 1月 64.5 4.8 14.1
2月 66.6 4.8 12.9
3月 66.0 4.7 11.2
4月 65.1 4.5 12.9
5月 65.3 4.3 11.7
6月 66.1 4.5 12.0
7月 60.1 4.8 15.9
8月 64.7 4.4 11.7
9月 64.1 4.5 10.7
10月 63.9 4.2 11.7
11月 65.9 3.6 11.7
12月 66.6 3.1 11.9
2024年 1月 61.1 4.5 13.9
(出所:PSA資料より作成、2023年2月以降全て速報値)