PSEのIPO・新規上場、2024年第1四半期はゼロに

PLCは自主的上場廃止表明、上場企業数低水準続く

2024/03/12

 フィリピン証券取引所(PSE)におけるIPOや新規上場社数は低水準で推移している2024年第1四半期も結局ゼロとなる。唯一予定されていたシティコア リニューアブル エナジー(CREC)のIPOや新規上場も第2四半期以降に延期されてしまった。

 PSEにおける新規上場社数は、裏口上場(バックドア・リスティング)を除くと、2014年7社、2015年から2017年までは各々4社、2018年は1社のみ、2019年と2020年も各々4社のみであった。2021年は8社、そして、2022年は10社(1社はIPOなしの導入方式で上場)へと増加したが、23年は3社にとどまった。裏口上場は既存上場企業の衣替えであり上場企業数が増えるわけではない。正式なIPO・新規上場企業数増加が喫緊の課題といえよう。

 PSEは、未上場企業に対しIPO・PSE新規上場を促しており、2023年は当初20社を目標としていた。20社が新規上場すれば、1994年の21社以来、29年ぶりのこととなる筈であった。しかし、市場環境悪化もあって、上記のように、僅か3社にとどまった。

 PSEは、2024年は金利低下など市場環境が好転し、IPO・新規上場案件が回復すると見込んでいる。現在6社以上とIPO・新規上場に関して討議しているとのことである。2023年からの持ち越し案件もあり、最低でも4~5社がIPO・新規上場を予定、2023年の3社からは増加しそうとのことであるが、依然として一桁台にとどまる懸念がある。ただ、IPO規模はかなり拡大する可能性がある。2023年のIPO規模は、3社ともに20億ペソ未満という小型案件であったからである。

 なお、2023年末のフィリピン証券取引所(PSE)上場企業数は283社で、2022年末の286社から3社の純減となっている。上場企業数の3社純減は、年初からの上場廃止が6社(自主的上場廃止4社、強制的上場廃止2社)に達した一方、新規上場社数が3社にとどまったことによる。

 このように、新規上場数が低水準であり、上場廃止が相次ぐことで、上場企業数がなかなか増えない状況が続いている。3月11日には、不動産企業プレミアム レジャー コーポレーション(証券コード:PLC)が自主的上場廃止意向を表明した。

 PLCの上場廃止意向は、親会社であるベルコープ(証券コード:BEL)がPLC株式の公開買い付け(TOB)を実施、PLC保有比率を100%に高めることを意図していることによる。SM財閥傘下の不動産企業であるBELはカジノリゾート「シティ・オブ・ドリームズ・マニラ(CDM)」の建物や土地を保有・リースするとともに、子会社PLCを通じてCDM運営事業にも参画している。なお、CDMを運営するメルコ リゾーツ&エンターテイメント フィリピン(MRP)も2019年に、PSEから上場廃止となった。