23年末の住宅不動産融資残高、1兆ペソを突破

7%増加、不良債権比率6.93%(前年末7.55%)

2024/03/15

 フィリピン中央銀行(BSP)の最新データによると、2023年第4四半期末(12月末)のフィリピン銀行業界(商業・拡大商業・貯蓄銀行本体のみ)の住宅不動産融資残高(RREL)合計は前年同期末比7.0%増の1兆0,035億ペソで、データのある2009年以降で過去最高だった。前期末(9月末)からは2.1%増加した。

 総融資残高(TLP)に対する住宅不動産融資残高(RREL)比率は8.05%で、前期末、前年同期末から低下した。一方、住宅不動産融資不良債権(NPL)比率は6.93%で、前期末(7.10%)、前年同期末(7.55%)から低下した。

 フィリピン銀行業界の住宅不動産融資動向 (単位:億ペソ)
項目 2022年12月末 2023年9月末 2023年12月末
住宅不動産融資残高(RREL) 9,379.64 9,825.03 10,034.66
RREL不良債権残高 707.79 697.51 695.85
貸倒引当金 196.07 206.89 209.90
総融資残高(TLP) 116,033.09 119,079.67 124,615.07
総不良債権残高(TNPL) 3,797.36 4,228.46 4,269.57
RRELの対TLP比率 8.08% 8.25% 8.05%
RREL不良債権の対TNPL比率 18.64% 16.50% 16.30%
RREL不良債権比率 7.55% 7.10% 6.93%
(出所:BSP資料より作成、注:2024年3月12日時点、銀行本体のみ、銀行間融資除く)

 なお、フィリピン中央銀行(BSP)によると、フィリピンの住宅不動産価格は上昇傾向を辿っている。BSPの住宅不動産価格指数(RREPI)データに基づくと、2023年第3四半期の全国の新築住宅の不動産価格は前年同期比で12.9%上昇、前四半期比で3.4%上昇、3四半期連続での二桁上昇となった。地域別では、首都圏が前年同期比12.3%上昇、前四半期比11.5%上昇。その他地域(地方)は前年同期比14.3%上昇、前四半期比0.1%上昇となった。

 フィリピン住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2014年第1四半期=100)
年・時期 2021年 2022年 23年
Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3
全国
前年同期比上昇率(%)
全住宅 6.3 4.9 5.7 2.6 6.5 7.7 10.2 14.1 12.9
一戸建住宅 -4.2 -1.1 -2.3 0.8 9.8 10.0 17.0 18.3 16.8
二世帯住宅 -0.2 -10.2 18.3 11.3 26.7 42.9 22.1 24.6 57.7
タウンハウス 37.1 22.6 25.7 4.1 -16.3 -6.8 1.8 14.7 9.3
コンドミニアム 13.6 10.4 14.5 8.6 19.2 12.9 1.2 5.0 8.3
前四半期比上昇率(%)
全住宅 0.7 1.1 -0.9 1.6 4.6 2.2 1.4 5.3 3.4
一戸建住宅 -5.7 3.0 -1.6 5.5 2.7 3.2 4.7 6.7 1.4
二世帯住宅 -9.3 22.0 -2.1 2.7 3.4 37.6 -16.4 4.8 30.8
タウンハウス 21.7 -2.1 -5.0 -8.0 -2.1 8.9 3.8 3.7 -6.7
コンドミニアム  2.0 0.5 5.8 0.1 12.0 -4.9 -5.1 3.8 15.6
(出所:BSP資料より作成)