PSE上場の東ソー子会社マブハイ ビニール、業績堅調

2023年の純利益3%増の4億ペソ、前年の45%増益から続伸

2024/03/19

 東ソーのフィリピンにおけるソーダ製品の製造・販売子会社であるマブハイ ビニール コーポレーション(証券コード:MVC)が、3月18日、2023年(1月~12月)の情報報告書を開示した。MVCはフィリピン証券取引所上場企業(1997年2月5日上場)である。なお、日本企業がマジョリティーを有する現地法人でPSEに上場されているのは、MVCとパナソニックのフィリピン製造拠点であるパナソニック マニュファクチャリング フィリピン(証券コード:PMPC)の2社である。

 MVCは1934年にマブハイラバー社として設立され、1960年に化学品、PVC製品事業を開始した。1965年から苛性ソーダ年産4千トンの生産能力で生産・販売を開始し、1966年に現在の社名に変更した。その後、フィリピンにおける苛性ソーダの需要拡大に伴い生産増強を行っており、フィリピン唯一の電解メーカーとして、その地位をより確固たるものとしてきている。現在の売上高の99%は苛性ソーダと塩素化合物で占められている。2022年末の従業員数は159名である。

 東ソーは2015年にMVCを子会社化、2023年9月末の保有比率は87.975%となっている。三菱商事もMVCへの出資を継続(2023年9月末で6%を保有)するとともに、原料の塩類を供給してきている。なお、東ソーは、フィリピンでMVCのほか、塩化ビニール製造のフィリピン レジンズ インダストリーズ(出資比率80%)、塩化ビニールコンパウンド製造のトーソーポリビン(同82.25%)という子会社などを有している。

 MVCの2023年の売上高は前年比(以下同様)4%減の30億7,377万ペソ。苛性ソーダ市況低下などで小幅減収ではあったが、比較となる前年が46%増収と非常に高い伸びであったことの反動とう要素もあり、依然売上は堅調に推移したといえる。コスト低減などで粗利益は1.7%増の12億776万ペソ、純利益は2.4%増の4億908万ペソに達した。2022年の46%増収45%増益という好決算に続いての堅調な業績推移であった。
 
 なお、MVCはイリガン工場(所在地:ミンダナオ島北ラナオ州イリガン市)の電解設備の生産能力を68%増強しつつある。投資額は約6億3,000万ペソ(約14億円)となる。東ソーによると、フィリピンの苛性ソーダ需要は、食品工業洗浄用途を中心に幅広い産業で需要が拡大しており、今後も堅調な成長が見込まれる。一方、塩素需要も、インフラ整備が進む上下水道の殺菌用途や、漂白剤用途等で需要が伸長している。このような環境下、MVCは、電解設備の生産能力を大幅増強することで、フィリピンにおける苛性ソーダおよび塩素誘導品の需要の拡大に対応し、安定供給体制の確立を図る。

 これまでの電解設備生産能力は、苛性ソーダ換算で年産1万9,000トンであるが、同1万3,000トン(68%)増強し、同3万2,000トンとしつつある。また、この電解設備増強計画では、電力および蒸気の消費量削減や、更なるエネルギー有効活用を併せて実施することで、二酸化炭素の排出量を増強前よりも削減する。

 マブハイビニールの年間業績推移(単位:万ペソ)
2020年  2021年 2022年  2023年    23年伸び率
売上高 207,011 218,742 320,105 307,377  -4.0%
粗利益 94,813 88,532 118,792 120,776   1.7%
営業利益 45,704 36,123 52,501 48,418   -7.8%
帰属純利益 33,304 27,623  39,943 40,908   2.4%
(出所:マブハイビニール年次報告書などより作成)