IPS、比子会社インフィニVANへ33億円の追加出資

総出資比率約70%に、外資規制緩和のもとで基盤更に拡充

2024/03/22

 情報通信事業などを展開する株式会社アイ・ピー・エス(IPS、本社:東京都中央区)は、3月21日、フィリピンの連結子会社である InfiniVAN(所在地:マニラ首都圏タギグ市BGC)の増資について、フィリピン証券取引委員会により承認されたと発表した。

1.InfiniVANの増資の経緯および目的
 フィリピンにて通信事業を行っている連結子会社のInfiniVANへの直接的な出資比率は、改正前の公共サービス法により40%が上限となっており、IPSの直接的な出資比率も40%となっていた。2022年3月21日に公共サービス法改正法(改正法)が成立し、通信事業が「公益事業」の範疇から外れることになり、特定の条件のもとで外資の100%までの出資や外国人の就業が認められた。

 また、2023年3月20日、国家経済開発庁(NEDA)は、PSA 改正法に関する実施要領(IRR)を公布した。IRRはPSA改正法を受けて、外資による通信事業などへの50%を超える出資や外国籍職員の選任、雇用を行う際の条件、規制、手続き等を定めており、2023年4月4日に施行された。

 この一連の流れを受け、IPSグループでは、フィリピンでの通信事業をよりスピード感を高めて展開するため、InfiniVANの実施する増資を引受けることにより、50%を超える直接的な出資比率とすることとし、外資による50%超の出資比率とすることについてフィリピン電気通信委員会に申請し、2023年11月17日その承認を受けた。続いて、フィリピン証券取引委員会に増資等の承認を申請し、2024年3月18日にその承認を受けた。

2.増資の内容について
(1) 増資金額:12億2,700万ペソ(33億円)
(2) 増資株式数:55万6,396株(1株につき 2,205ペソ)
(3) 増資引受状況:アイ・ピー・エス9億6,300万ペソ(43万6,508株)、コーポレートONE社2億6,400万ペソ(11万9,888株)
(4) 増資後の資本構成:アイ・ピー・エスが77万7,008株(55.2%)、コーポレートONE社が63万0,638株(44.8%)
 
 増資後の間接出資を含むアイ・ピー・エスの出資比率は5.71%上昇し69.71%となる(直接出資分は55.2%)。本件によるアイ・ピー・エスの2024年3月期の連結業績への影響は軽微と考えられる。2025年3月期の連結業績については、間接出資を含む出資比率の増加(5.71%)により親会社株主に帰属する当期純利益についての影響がある。

 なお、アイ・ピー・エスのフィリピンでの通信事業は、2015年に出資したInfiniVANを通して展開されている。InfiniVANは、2016年に制定されたフィリピン共和国法第10898号によりフィリピン国内で通信事業を営むことができる権利(フランチャイズ)を有する通信事業者である。固定通信のほか、無線通信サービスも提供することができる。また、フィリピン国家通信委員会より5G周波数割り当ても受けている。現在の主要な事業は、ルソン島のマニラ首都圏での法人向けインターネット接続サービス(ISP)、およびミンダナオ島・パナイ島における光ファイバー通信回線の敷設による、地域通信事業者・CATV事業者へのインフラ提供などである。

 アイ・ピー・エスは過去最大の投資案件として、2022年7月より、InfiniVANを通じて、フィリピンの通信企業グローブ テレコム(証券コード:GLO)とイースタンテレコミュ二ケーションズ フィリピン(イースタンテレコム)と共同で、フィリピン国内海底ケーブルシステム(PDSCN)の建設を開始した。2023年4月に海底部分の建設が完了、全国140カ所の中継局網も2023年12月に完成した。すなわち、既存大手通信事業者と遜色のないネットワークが完成し、ハイパースケール事業者、CATV事業者、地方の通信事業者、地方の法人向け等への通信サービスの提供が全国規模で可能となっている。