日本、マニラ地下鉄に1,500億円の第3次融資へ

累計5,078億円、ダルトン峠代替道路にも1,000億円

2024/03/27

 日本外務省によると、3月26日、マニラにおいて、松田賢一在フィリピン日本国大使館公使と、エンリケ・マナロ・フィリピン外務大臣との間で、総額2,500億円を限度とする円借款2件に関する書簡の署名・交換が行われた。本件には本邦技術活用条件(STEP)が適用され、トンネル区間を含む高速道路及び地下鉄の建設に日本の技術が活用される予定である。その概要は以下のとおり。

1.対象案件の概要
 (1)ダルトンパス東代替道路建設計画(第一期)(供与限度額:1,000億円)
 ルソン島中・北部に位置するダルトンパスと呼ばれる区間は、ルソン島北部のカガヤン渓谷とマニラ首都圏を直接結ぶ唯一の幹線道路であり、マニラ首都圏への交通・物流の要である。ヌエバ エシハ州サンノゼ市とヌエバ ビスカヤ州アリタオを結び、ルソン島北東部のカガヤン バレーに通じる道路網の一部を形成しており、汎フィリピン・ハイウェイの一部となっている。一方で、ダルトンパスは断層上に位置し、急峻な山岳地帯を通ることから、自然災害に脆弱であり、台風等により度々斜面崩壊や通行止めが発生している。さらに、ダルトンパスは、急勾配及び急カーブにより、車両が十分な走行速度を確保できない状況にある。この計画では、ダルトンパス現道の東側にバイパスの高速道路を整備し、道路の走行性の改善を図り、もって同地域の連結性強化及び経済活性化に寄与する。

 (2)マニラ首都圏地下鉄計画(フェーズ1)(第三期)(供与限度額:1,500億円)
 フィリピン政府が、フィリピン初の地下鉄をマニラ首都圏において整備するために同政府に融資するもので、増加する輸送需要に対応して、マニラ首都圏の深刻な交通渋滞を緩和するとともに、大気汚染物質や温室効果ガスの排出削減を図るものである。この計画で結ばれる区間(イーストバレンズエラ駅からニノイ・アキノ国際空港駅まで)の移動には、自動車で約2時間を要していたが、地下鉄利用により、約40分に短縮されることが見込まれている。これまで、この地下鉄整備支援のために第一期(供与限度額1,045億3,000万円、2018年3月署名)及び第二期(供与限度額2,533億700万円、2022年2月署名)の円借款を供与しており、今回はそれに続く第三期の融資となる。累計で約5,078億円(約1,886億ペソ)となる。この計画の実施により、マニラ首都圏全体における運輸・交通網の整備が進展することが期待される。

2.供与条件
・金利:年0.3%(固定金利、コンサルティングサービス部分は年0.2%)
・償還期間:40年(10年の据置期間を含む)、・調達条件:日本タイド