ミンダナオ包括和平合意10周年、日本が多大な貢献

2024/03/28

 3月27日、ミンダナオ包括和平合意文書への署名10周年を迎えた。マルコス大統領は、「政府は、バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)の平和と発展を確保するためにより一層努力する」と表明した。

 2014年3月27日、マニラのマラカニアン宮殿にて、フィリピンのアキノ大統領(当時、以下同様)、モロ・イスラム解放戦線(MILF)のムラド議長、および和平交渉の仲介役を務めたマレーシアよりナジブ首相の立会いの下、フィリピン政府・MILF双方の和平交渉団長によるミンダナオ包括和平合意文書への署名が行われた。日本側は、卜部在フィリピン日本国大使らに加え、国際協力機構(JICA)からは田中明彦理事長が立会人として出席した。

 この包括和平合意においては、新たな自治政府である「バンサモロ自治政府」の早期発足、その基本的な枠組みなどが定められた。その後、移行プロセスとして、バンサモロ基本法の制定、住民投票の実施などを経て、2019年2月22日にバンサモロ暫定自治政府が発足した。

 日本は、2006年以来、ミンダナオの和平交渉プロセスやその後の復興・発展などのために多面的かつ継続的に貢献してきている。具体的には、フィリピン・ミンダナオ国際監視団(IMT)の社会経済開発部門への職員派遣、和平プロセスのオブザーバーとして助言を行う国際コンタクト・グループへの参加、和平後の開発の担い手育成、MILF兵士の退役・武装解除支援、コミュニティ開発、粉争影響地域に対する経済協力プロジェクトの集中的実施などである。

 なお、日本のミンダナオ和平支援案件はJ-BIRD(Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)と総称される。J-BIRDのもとで、これまで約5億1,500万米ドル、100以上のプロジェクトを実施しており、今後も和平プロセスのさらなる進展と、ミンダナオの開発支援を継続していく方針である。