住宅価格、第4四半期6.5%上昇(前期12.9%上昇)

一戸建て9.5%上昇、コンドミニアム4.1%上昇:中銀調査

2024/03/30

   フィリピン中央銀行(BSP)は3月27日、2023年第4四半期(10月~12月)の住宅の不動産価格指数(RREPI)を発表した。

 [2023年第4四半期の住宅不動産価格指数(RREPI)の動向]
 RREPIデータに基づくと、当第4四半期の全国の新築住宅の不動産価格は前年同期比で6.5%上昇したが、5四半期ぶりの低水準だった。二世帯住宅の大幅な落ち込みが響いた。また、前期比では3.6%低下し、前期の3.4%上昇からマイナスに転じた。地域別では、首都圏が前年同期比4.3%上昇、2021年第3四半期以降で最も低い伸び率となった。前期比では9.4%の低下。その他地域(地方)は前年同期比7.8%上昇、前期比1.2%低下となった。

 全国の住宅タイプ別不動産価格は、一戸建て(+9.5%)、タウンハウス(+4.9%)、コンドミニアム(+4.1%)が前年同期から上昇したが、二世帯住宅は33.5%低下した。前期比ではタウンハウスのみプラス成長で、一戸建て、二世帯、コンドミニアムはマイナス成長だった。

 フィリピン住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2014年第1四半期=100)
年・時期 21年 2022年 2023年 
Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
全国
前年同期比上昇率(%)
全住宅 4.9 5.7 2.6 6.5 7.7 10.2 14.1 12.9 6.5
一戸建住宅 -1.1 -2.3 0.8 9.8 10.0 17.0 18.3 16.8 9.5
二世帯住宅 -10.2 18.3 11.3 26.7 42.9 22.1 24.6 57.7 -33.5
タウンハウス 22.6 25.7 4.1 -16.3 -6.8 1.8 14.7 9.3 4.9
コンドミニアム 10.4 14.5 8.6 19.2 12.9 1.2 5.0 8.3 4.1
前期比上昇率(%)
全住宅 1.1 -0.9 1.6 4.6 2.2 1.4 5.3 3.4 -3.6
一戸建住宅 3.0 -1.6 5.5 2.7 3.2 4.7 6.7 1.4 -3.3
二世帯住宅 22.0 -2.1 2.7 3.4 37.6 -16.4 4.8 30.8 -42.0
タウンハウス -2.1 -5.0 -8.0 -2.1 8.9 3.8 3.7 -6.7 4.5
コンドミニアム 0.5 5.8 0.1 12.0 -4.9 -5.1 3.8 15.6 -8.6
首都圏(NCR)
前年同期比上昇率(%)
全住宅 5.0 9.7 6.3 17.5 16.1 7.3 15.4 12.3 4.3
一戸建住宅 -4.3 -6.1 -7.8 17.9 18.0 26.2 54.1 29.6 12.4
二世帯住宅 -4.7 -5.6 - - 25.9 70.8 - - -
タウンハウス 1.9 6.5 15.2 -7.8 8.5 13.1 21.3 0.4 18.7
コンドミニアム 7.8 15.1 8.4 24.0 15.9 -0.8 3.7 8.6 -0.3
前期比上昇率(%)
全住宅 -1.2 3.6 0.2 14.6 -2.4 -4.3 7.7 11.5 -9.4
一戸建住宅 4.0 -5.7 2.7 17.1 4.1 0.9 25.3 -1.5 -9.7
二世帯住宅 - -40.5 26.4 - - -19.4 - - -
タウンハウス -11.6 -3.5 0.1 7.9 4.1 0.6 7.3 -10.6 23.0
コンドミニアム -0.5 8.6 -0.7 15.5 -6.9 -7.1 3.7 21.0 -14.5
地方
前年同期比上昇率(%)
全住宅 5.1 5.1 2.2 2.3 4.5 11.4 13.8 14.3 7.8
一戸建住宅 -0.8 -1.9 2.0 8.5 8.8 15.6 14.7 15.7 9.3
二世帯住宅 -6.7 23.2 13.4 29.4 46.4 19.4 24.5 54.5 -37.9
タウンハウス 34.4 37.0 -0.6 -20.2 -12.1 -2.7 11.8 12.3 1.9
コンドミニアム 19.9 14.1 10.1 5.6 3.9 6.6 8.6 8.7 14.0
前期比上昇率(%)
全住宅 2.6 -2.0 2.2 -0.4 4.8 4.4 4.4 0.1 -1.2
一戸建住宅 2.9 -1.1 5.8 0.8 3.1 5.1 5.0 1.7 -2.6
二世帯住宅 20.8 2.9 0.6 3.4 36.6 -16.1 5.0 28.3 -45.1
タウンハウス 0.5 -5.5 -10.5 -6.1 10.7 4.6 2.8 -5.6 0.4
コンドミニアム 3.8 -1.5 2.2 1.0 2.2 1.1 4.1 1.0 7.2
(出所:BSP資料より作成、全て改訂値)
注:アパートに関する指数は無。二世帯住宅は報告された不動産融資件数が比較的少ないため、変動的である。

 [2023年第4四半期の住宅融資(RREL)の概要]
 全国レベルでの当期の住宅不動産融資(住宅ローン)利用件数は前年同期比25.2%増の1万1,804件だった。地域別では、首都圏が25.8%増の3,621件、地方が25.0%増の8,183件だった。

 住宅ローン1万1,804件のうち新築住宅ローン利用件数は9,975件(シェア84.5%)で前年同期から30.5%増加した。地域別では、首都圏が38.5%増の3,448件、地方が26.6%増の6,527件だった。

 新築住宅ローン件数の変化
地域 年間増減率(%) 前期比増減率(%)
22年Q4 23年Q3 23年Q4 22年Q4 23年Q3 23年Q4
全国 -10.3 -1.8 30.5 -4.5 18.0 26.9
首都圏 -22.0 -11.9 38.5 -23.5 31.9 20.3
地方 -3.4 5.1 26.6 8.5 11.3 30.7
(出所:BSP資料より作成)

 住宅の種類別では、一戸建住宅とコンドミニアムの取得がともに42.6%と最も多く、次いでタウンハウスが14.7%、二世帯住宅が0.1%と続いている。地域別では、カラバルソンが住宅ローン利用全体の33.1%を占めて首位、次いで首都圏の30.7%(大部分はコンドミニアムの購入用)、中央ルソン12.0%、西ビサヤ5.8%、中央ビサヤ5.3%、ダバオ5.2%、北ミンダナオ1.9%。首都圏とこれら6地域で銀行が融資する住宅ローン全体の94%を占めた。

 全国の新築住宅の1平米当たり平均評価額は前年同期比19.1%増の8万9,042ペソ。首都圏は同5.5%増の13万4,178ペソ。地方は同31.8%増の6万5,186ペソだった。

 [中央銀行の住宅の不動産価格指数(RREPI)について]
 RREPIは、各金融機関の新築住宅購入向け融資のデータなどに基づいた、様々なタイプの住宅価格における平均変動の一つの尺度である。不動産市場や金融市場の動向を分析・把握する上で有益な手段を提供する。BSPは、2015年11月16日の回覧892号で、国内全ての商業銀行(拡大商業銀行含)、貯蓄銀行に住宅融資に関する四半期報告書の提出を義務付け、2016年6月から新築住宅の不動産価格指数の公表を開始した。これは、2022年9月14日付BSP回覧第1154号によって補足され、国内のすべてのデジタル銀行(DB)に同様の報告書のBSPへの提出が義務付けられた。