三菱自動車、比セキュリティバンクと車両融資で合弁

「三菱自動車ファイナンスフィリピン」設立へ、51%出資

2024/04/09

 三菱自動車工業(三菱自動車、本社:東京都港区)は、4月8日、フィリピンの有力拡大商業銀行であるセキュリティバンク(証券コード:SECB、本社:マニラ首都圏マカティ市)と、三菱自動車を専門に取り扱う販売金融会社「三菱自動車ファイナンス フィリピン」を設立する合弁契約を締結することで合意した。

 「三菱自動車ファイナンス フィリピン」は2025年度に事業開始を予定しており、三菱自動車が51%、セキュリティバンクが49%を出資する予定である。

 三菱自動車は中期経営計画「Challenge 2025」の中でアセアン地域を「成長ドライバー」と位置づけ、経営資源を集中させ、多くの新モデルを投入することで販売・収益の拡大を図ることを発表している。「成長ドライバー」の中でも、フィリピンの自動車市場は人口の増加と高い経済成長率とともに拡大を続けており、中期的にも持続的に力強く成長すると見込まれる。フィリピンに於いて、新車購入時にファイナンスを活用することが多いから、自動車販売金融サービスは自動車購入時の重要な手段となる。この合弁事業により、三菱自動車は、セキュリティバンクが持つ豊富な販売金融商品とサービスを顧客とディーラーに対して提供することが可能となり、今後、フィリピンでの更なる販売拡大を推進する方針である。

 三菱自動車のフィリピンにおける生産・販売拠点はミツビシ モータース フィリピン コーポレーション(MMPC、所在地:ラグナ州サンタロサ市グリーンフィールド オートモーティブパーク)である。MMPCは、今年2月20日に設立61周年を迎えた。MMPCの2023年の販売台数は前年比47.3%増の5万8,371台(シェア18.2%:工業会加盟企業ベース、以下同様)で、トヨタモーター フィリピン(TMPC)の20万0,031台(46.5%)に次ぐ第2位であり、これまでも長らく第2位の座を維持している。

 このように、三菱自動車はフィリピンにおいて約18%と高いシェアを有し、他の主要市場のシェアを大きく引き離している。三菱自動車にとって、フィリピンは非常に重要な市場となっている。三菱自動車のフィリピンでの市場シェアが、他市場に比べ非常に高いのは、フィリピンでの歴史が非常に長く地道に事業基盤を強化してきたこと、モンテロ・スポーツ、パジェロ、ASX、アドベンチャー、エクスパンダー、アウトランダーなど現地ニーズの高い多目的車のラインアップが豊富であること、販売網拡充を推進してきたことなどが挙げられる。

 一方、セキュリティバンクは1951年5月設立、1995年6月8日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場された。三菱UFJ銀行が、戦略的パートナーシップ合意に基づき、2016年4月1日に20%出資(約369億ペソ)した。2023年末の店舗数は326店、総資産は8,720億ペソ、株主資本は1,360億ペソ。バーゼル3基準のリスク加味自己資本比率(CAR)は16.2%、普通株式中核自己資本比率(CET1)は15.3%で、中央銀行の最低基準を大幅に上回っている。