財閥系複合企業11社、23年は8社が増益・黒字化

収入はサンミゲル1.4兆ペソで断トツ、利益首位はSM

2024/04/17

 フィリピン証券取引所(PSE)上場の財閥系複合企業の2023年の年次報告書提出がほぼ出揃った。4月16日時点で、ユーチェンコ財閥のハウス オブ インストメント(証券コードHI)と、2023年10月9日に自主的に上場廃止となったメトロ パシフィック インベストメンツ社(MPIC)の年次報告書が未提出のため下表の集計からは外したが、MPICの2023年の帰属純利益は前年比90%増の199億ペソであったことが確認されている。なお、個別企業の詳細は別掲もしくは別掲予定である。

 この11社のうち、サンミゲル(証券コード:SMC)、ロペスホールディングス(LPZ)、DMCIホールディングス(DMC)の3社が減収となった。SMCは石油製品値下がり、DMCは石炭価格反落が響いた。サンミゲルは4%減収であったが収入額は1兆4,467億ペソと断トツ、2位のSMインベストメンツ(SM)6,163億ペソの2.3倍に達している。サンミゲルは売上規模の大きい石油販売や電力事業を有している。損益に関しては、SMインベツトメンツが総純利益1,062億ペソ、帰属純利益770億ペソでともに首位である。名門のアヤラコーポレーション(AC)は、総純利益552億ペソで第2位、帰属純利益も381億ペソで第2位であった。

 帰属純損益ベースでの増益企業は11社中7社、黒字転換1社、減益は3社であった。MPICを含めると増益企業は8社となる。総純利益ベースでの増益率トップはJGサミット(JGS)の416%、次いでGTキャピタル(GTCAP)の67.1%、サンミゲルの67.0%増益であった。帰属ベースの増益率トップは、JGSの2,981%、フィルインベスト デベロップ(FDC)の58%、次いでGTCAPの57%であった。GTCAPは51%を保有するトヨタモーター フィリピンの帰属純利益が2.4倍の138億ペソへと大幅増加したことなどが寄与した。一方、LPZとDMCは二桁減益。DMCは前年が石炭出荷価格の急騰で大幅増益となった反動といえるが、利益額は依然高水準。

 財閥系複合企業の2023年の決算動向(単位:百万ペソ)
企業名 財閥・総帥名 収入 増減率 純利益 増減率 帰属純利益 増減率
サンミゲル サンミゲル 1,446,703 -4% 44,699 67% 198 黒字転換
SMインベストメンツ SM 616,252 11% 106,185 26% 76,989 25%
JGサミット ゴコンウェイ 343,969 14% 33,425 416% 20,045 2,981%
アボイティス エクイティ アボイティス 310,619 1% 42,921 11% 23,546 -2%
GTキャピタル メトロバンク 306,701 25% 36,305 67% 28,743 57%
アヤラコーポレーション アヤラ 289,905 10% 55,176 20% 38,073 39%
アライアンス グローバル アンドリュー・タン 211,200 15% 30,300 20% 19,600 21%
ロペス ホールディングス ロペス 164,952 -3% 23,535 5% 2,850 -48%
DMCIホールディングス コンスンヒ 122,829 -14% 36,837 -24% 24,722 -20%
LTグループ ルシオ・タン 115,299 14% 34,016 11% 25,421 1%
フィルインベスト デベロップ ゴティアヌン 82,793 28% 12,137 46% 8,947 58%
(出所:各社の年次報告書などより作成)