三菱電機製の移動式航空監視レーダー引き渡し

初の完成防衛装備品輸出(4基、計1億ドル)の一環

2024/04/30

 4月29日、マニラ首都圏ケソン市キャンプ アギナルドのフィリピン国防総省本部において、三菱電機製のTPS-P14ME移動式航空監視レーダー システムの引き渡し式が開催された。

 引き渡し式において、国防省のギルベルト・テオドロ大臣は、「今回受領した移動式航空監視レーダー システムにより、フィリピンの特に航空領域における領域認識の範囲が拡大され、監視・警戒能力が強化される」とコメントした。

 フィリピン空軍(PAF)のスティーブン・パレーニョ司令官らも「TPS-P14MEは、監視および早期警戒能力の重要なコンポーネントである。航空機、ドローン、船舶などの空中および水上ターゲットの高解像度監視が可能であり、潜在的な脅威を正確かつ正確に追跡および特定できるようになる」、「移動式レーダーシステムの利点の一つは、さまざまな場所に簡単に配備できることであり、軍が遠隔地や戦略的地域で迅速に監視活動を開始できることだ」などと述べた。

 今回の三菱電機製の移動式航空監視レーダーのフィリピン空軍への納入は日・フィリピン防衛装備品・技術移転協定に基づいて実施される初の日本から海外への完成装備品の移転案件の一環である。
 
 2020年8月25日に、日・フィリピン防衛装備品・技術移転協定に基づくフィリピンの警戒・監視能力向上に係る協力として、フィリピン国防省と三菱電機との間で三菱電機製警戒管制レーダー(4基)を約1億ドルで納入する契約が成立した。今般、この契約に基づく2基目のレーダーがフィリピン空軍に納入されたのである。残りの2基も順次納入予定である。

 これら4基のうち、3基は固定式警戒管制レーダー装置(FPS‐3ME)、1基は今回移入された移動式(TPS-P14ME)である。固定式は沿岸部に設置しミサイルなどの飛来物を監視する。移動式は車両に搭載して航空機やヘリコプターの飛来を感知する。固定式については、2023年12月、ルソン島北西部ラウニオン州の州都サンフェルナンド市に立地するウォーレス空軍基地へ納入された。同基地は中国と領有権を争う南シナ海に面しており、管制レーダー設置で警戒態勢を強化する。