5月7日に4月のインフレ率発表、直前予想中間値は4.1%

3カ月連続加速し5カ月ぶり目標上限突破懸念:BW紙集計

2024/05/05

 フィリピン統計庁(PSA)は、5月7日午前9時、2024年4月の消費者物価(インフレ)統計を発表する予定である。

 現地有力経済紙であるビジネスワールド紙(BW紙)が先週実施したエコノミスト16名による2024年4月の総合消費者物価上昇率(インフレ率、前年同月比、2018年基準)に関する直前予想のコンセンサス(中間値)は4.1%。中間値の4.1%となれば、前年同月の6.6%からは減速であるが、前月(3月)の3.7%からは加速、39カ月ぶりの低水準であった2024年1月の2.8%からは3カ月連続での加速となる。そして、5カ月ぶりにインフレ目標(2%~4.0%)の上限を突破することになる。

 16名のエコノミストのなかの最高予想値は4.5%、最低予想値は3.5%であった。1名が4.5%、3名が4.2%、4名が4.1%、3名が4.0%、3名が3.9%、1名が3.8%、1名が3.5%と予想している。これらのエコノミストは、コメ、豚肉、石油製品価格の値上がり、ペソ対ドルレートの下落などによりインフレ率が加速したと見ている。また、エルニーニョ現象による猛暑や干ばつの影響等により、第2四半期にはインフレ率が一段と加速する可能性があると見ている。

 一方、フィリピン中央銀行(BSP)は、4月30日、「2024年4月の総合インフレ率は3.5%~4.3%の範囲内であったと推定している」と発表した。この中央銀行の推定レンジの中間は3.9%。上記の民間エコノミスト予想のコンセンサスとよりもやや低いが、3カ月連続で加速した可能性が高いとの見方では一致している。

 総合インフレ率月別推移(2018年基準、前年同月比%)
項目 2023年 24年
3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
総合 7.6 6.6 6.1 5.4 4.7 5.3 6.1 4.9 4.1 3.9 2.8 3.4 3.7
食品・非酒類 9.3 7.9 7.4 6.7 6.3 8.1 9.7 7.0 5.7 5.4 3.5 4.6 5.6
酒類・タバコ 12.2 12.7 12.3 11.6 10.9 10.1 9.8 9.3 9.0 9.0 8.4 8.6 6.7
衣料・履物類 5.0 5.1 5.1 5.1 4.8 4.8 4.7 4.8 4.3 4.2 3.8 3.6 3.6
住宅・水道光熱費 7.6 6.5 6.5 5.6 4.5 2.5 2.4 2.6 2.5 1.5 0.7 0.9 0.5
家具・住宅管理 6.2 6.1 6.2 6.0 5.8 5.6 5.4 5.3 4.7 4.5 3.9 3.3 3.2
健康・医療 3.9 4.1 4.1 3.9 3.9 3.9 4.1 4.0 3.8 3.7 3.3 3.0 3.2
交通・輸送 5.3 2.6 -0.5 -3.1 -4.7 0.2 1.2 1.0 -0.8 0.4 -0.3 1.2 2.1
情報・通信 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.6 0.8 0.6 0.5 0.5 0.4 0.4
娯楽・文化 4.6 4.7 4.9 4.8 4.7 4.9 5.1 5.0 4.9 4.2 4.0 3.8 3.9
教育 3.6 3.6 3.6 3.6 3.7 2.9 3.8 3.8 3.5 3.5 3.8 3.8 3.8
外食・宿泊サービス 8.3 8.6 8.3 8.2 7.9 7.1 7.1 6.3 5.6 5.6 5.5 5.3 5.6
金融サービス 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 -0.6 -0.6 -0.6
パーソナルケア類 5.6 5.7 5.7 5.8 5.6 5.5 5.4 5.3 4.8 4.6 4.0 3.8 3.6
首都圏 7.8 7.1 6.5 5.6 5.6 5.9 6.1 4.9 4.2 3.5 2.8 3.2 3.3
地方 7.5 6.5 6.0 5.3 4.4 5.2 6.0 4.9 4.1 4.0 2.8 3.5 3.8
(出所:PSA資料より作成)