LRT1号線事業に阪急電鉄やJICAが参画
住友商事と協働へ、新規車両は三菱商事が納入
2024/05/08
住友商事、阪急電鉄、国際協力機構(JICA)は、5月7日、「マニラ首都圏軽量鉄道1号線(LRT1号線)の運営・保守事業に協同して取り組んでいくことに合意し、住友商事が間接保有するLRT1号線の運営・保守事業を行うライトレール マニラ コーポレーション(LRMC、所在地:マニラ首都圏パサイ市)の株式の一部を、阪急電鉄とJICAに譲渡する契約を締結した」と発表した。
フィリピンはASEAN諸国の中でも高い経済成長を誇り、今後数十年にわたり人口増加が続くと予測されている。その一方で、マニラ首都圏はASEAN諸国の中でも最も渋滞が深刻な都市の一つとされており、公共交通網の整備を喫緊の課題として、新規路線を含む鉄道インフラの整備が進められている。
LRT1号線は約20キロメートルの路線長を持つマニラ首都圏の重要な交通網の一つであり、LRMCは、急速に増加する交通需要に対応すべく、2015年に旅客鉄道事業に参画し、より質の高い鉄道運行、輸送力の拡充に取り組んでいる。2024年中には約7キロメートルの南部延伸区間が開業し、5つの新駅が設置される予定である。これによりマニラ首都圏南部からのアクセスが大幅に向上し、マニラ首都圏の発展を支える重要な交通インフラとしての役割が更に高まっていくことが見込まれている。
住友商事は、2020年5月、LRMCの株式約19.2パーセントを間接的に取得し、出資参画した。それまでのLRMC社の株主は、大手インフラ投資事業者であるメトロパシフィック インベストメンツ(MPIC)、フィリピン最古かつ最大級のコングロマリットであるアヤラ コーポレーション傘下のAC インフラストラクチャー ホールディングス、グローバル、金融サービスを提供するMacquarieグループの3社であった。ここに、住友商事が加わったのである。それ以降、住友商事はLRMCの安定的な経営に資する取り組みや、スペアパーツ調達支援などを通じ、LRMCの価値向上に取り組んできた。今後、パートナーとして参画する阪急電鉄とJICAとの協働により、更なる事業の価値向上に貢献していく。
JICAは主にフィリピン政府に対する円借款の供与及び技術協力を通じて長きに亘りマニラ首都圏の鉄道整備を支援してきた。過去には円借款「LRT1号線増強事業(1)、(2)」にて輸送力の増強を実施、現在は円借款「マニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張事業」にて車両の調達や車両基地の整備を実施中である。豊富な実績で培ってきたフィリピン政府との良好な関係を通じ、LRT1号線の円滑な運営に寄与していく。
この案件は阪急電鉄とJICAにとって初の海外での鉄道運営・保守事業への投資となり、日本企業による質の高いインフラ事業の海外進出を後押しする案件である。住友商事、阪急電鉄およびJICAは、夫々の強み・知見を生かし、LRMCやLRMCの他株主と共に、LRT1号線の更なる利便性・安全性の向上に取り組むことで、マニラ首都圏の交通ネットワークの強化に貢献する。また、交通渋滞の緩和による生活環境の改善と経済的損失の解消を実現することで、フィリピンの経済発展に寄与していく方針である。
なお、LRT1号線は、東南アジア初の都市鉄道として1984年に開業し、現在もマニラ市内の主要な公共交通機関としての役割を果たしてきている。日本は、開業後に需要増大に対応して行われた2度の機能拡張事業への支援を通じて、その運営に貢献してきた。南部延伸事業が完成すると、首都圏と郊外の間における移動の利便性が向上し、急速な人口増大、経済成長が進展しているマニラ首都圏の持続可能な発展へ寄与することが期待される。全線開通すると、バクラランとバコール間の移動時間は、現在の1時間10分から僅か25分に短縮すると期待されている。また、LRT1号線の1日あたり乗客数は50万人から80万人に増加するともみられている。
このLRT延伸路線などにも使用される新規車両の納入が、三菱商事によって行われつつある。三菱商事は、フィリピン運輸省より、LRT1号線向け鉄道車両30編成を受注している。契約予定金額は約300億円となり、日本政府とフィリピン政府の間で締結された円借款契約により手当てされている。供給する車両はスペイン最大手の鉄道車両メーカーであるConstrucciones y Auxiliar de Ferrocarriles, S.A.(CAF社)が日本製の機器類を採用してスペインとメキシコで製造。
このように、LRT1号線の運営、運行、保守、資金手当などに関し、日本政府や日本企業の支援や関与が強まっている。
フィリピンはASEAN諸国の中でも高い経済成長を誇り、今後数十年にわたり人口増加が続くと予測されている。その一方で、マニラ首都圏はASEAN諸国の中でも最も渋滞が深刻な都市の一つとされており、公共交通網の整備を喫緊の課題として、新規路線を含む鉄道インフラの整備が進められている。
LRT1号線は約20キロメートルの路線長を持つマニラ首都圏の重要な交通網の一つであり、LRMCは、急速に増加する交通需要に対応すべく、2015年に旅客鉄道事業に参画し、より質の高い鉄道運行、輸送力の拡充に取り組んでいる。2024年中には約7キロメートルの南部延伸区間が開業し、5つの新駅が設置される予定である。これによりマニラ首都圏南部からのアクセスが大幅に向上し、マニラ首都圏の発展を支える重要な交通インフラとしての役割が更に高まっていくことが見込まれている。
住友商事は、2020年5月、LRMCの株式約19.2パーセントを間接的に取得し、出資参画した。それまでのLRMC社の株主は、大手インフラ投資事業者であるメトロパシフィック インベストメンツ(MPIC)、フィリピン最古かつ最大級のコングロマリットであるアヤラ コーポレーション傘下のAC インフラストラクチャー ホールディングス、グローバル、金融サービスを提供するMacquarieグループの3社であった。ここに、住友商事が加わったのである。それ以降、住友商事はLRMCの安定的な経営に資する取り組みや、スペアパーツ調達支援などを通じ、LRMCの価値向上に取り組んできた。今後、パートナーとして参画する阪急電鉄とJICAとの協働により、更なる事業の価値向上に貢献していく。
JICAは主にフィリピン政府に対する円借款の供与及び技術協力を通じて長きに亘りマニラ首都圏の鉄道整備を支援してきた。過去には円借款「LRT1号線増強事業(1)、(2)」にて輸送力の増強を実施、現在は円借款「マニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張事業」にて車両の調達や車両基地の整備を実施中である。豊富な実績で培ってきたフィリピン政府との良好な関係を通じ、LRT1号線の円滑な運営に寄与していく。
この案件は阪急電鉄とJICAにとって初の海外での鉄道運営・保守事業への投資となり、日本企業による質の高いインフラ事業の海外進出を後押しする案件である。住友商事、阪急電鉄およびJICAは、夫々の強み・知見を生かし、LRMCやLRMCの他株主と共に、LRT1号線の更なる利便性・安全性の向上に取り組むことで、マニラ首都圏の交通ネットワークの強化に貢献する。また、交通渋滞の緩和による生活環境の改善と経済的損失の解消を実現することで、フィリピンの経済発展に寄与していく方針である。
なお、LRT1号線は、東南アジア初の都市鉄道として1984年に開業し、現在もマニラ市内の主要な公共交通機関としての役割を果たしてきている。日本は、開業後に需要増大に対応して行われた2度の機能拡張事業への支援を通じて、その運営に貢献してきた。南部延伸事業が完成すると、首都圏と郊外の間における移動の利便性が向上し、急速な人口増大、経済成長が進展しているマニラ首都圏の持続可能な発展へ寄与することが期待される。全線開通すると、バクラランとバコール間の移動時間は、現在の1時間10分から僅か25分に短縮すると期待されている。また、LRT1号線の1日あたり乗客数は50万人から80万人に増加するともみられている。
このLRT延伸路線などにも使用される新規車両の納入が、三菱商事によって行われつつある。三菱商事は、フィリピン運輸省より、LRT1号線向け鉄道車両30編成を受注している。契約予定金額は約300億円となり、日本政府とフィリピン政府の間で締結された円借款契約により手当てされている。供給する車両はスペイン最大手の鉄道車両メーカーであるConstrucciones y Auxiliar de Ferrocarriles, S.A.(CAF社)が日本製の機器類を採用してスペインとメキシコで製造。
このように、LRT1号線の運営、運行、保守、資金手当などに関し、日本政府や日本企業の支援や関与が強まっている。