3月の失業率3.9%、過去4番目の低水準

失業者17%減の200万人、不完全就業率11%

2024/05/09

 フィリピン統計庁(PSA)は5月8日、2024年3月の失業率が3.9%(速報値)となり、前年同月(4.7%)から0.8%ポイント低下した。前月(3.5%)からは0.4%ポイント上昇したが、2カ月連続での3%台であり、依然低水準といえる。PSAが2005年4月に現行の集計基準を採用してからの約19年間で、4番目に低い水準である。
 
 2024年3月の15歳以上の人口は前年同月比1.4%増の7,832万人、労働力人口は同0.3%増の5,115万人。労働参加率は65.3%で、前年同月(66.0%)から低下したが、前月(64.8%)からは上昇した。

 失業者数は前年同月比17.2%減の200万人。年齢層でみると、15歳-24歳が全体の29.3%、25歳-34歳が40.8%と合計で全体の70.1%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は35.5%(卒業者は25.4%)、大学進学・卒業者が40.6%(卒業者は27.9%)だった。性別では、男性55.1%、女性44.9%と男性が上回っている。

 就業者数は前年同月比1.2%増の4,915万人。業種別では、農業部門が20.5%(前年同月23.5%)、鉱工業部門が18.1%(同17.6%)、サービス部門が61.4%(同59.0%)だった。サブセクターで、年間増加数の多かった上位4業種は、卸小売業・自動車バイク修理業、製造業、行政・防衛(社会事業)、金融保険業、管理・支援サービス活動。最も減少した上位4業種は、農林業、漁業・水産養殖業、宿泊飲食サービス業、鉱業・採石業。

 賃金・給与労働者が就業者全体の64.2%を占めた。その中で、民間企業労働者が依然最も高い割合を占め、賃金・給与労働者全体の77.9%、就業者全体の50.1%を占めている。政府系企業社員・公務員が就業者全体の9.5%、自営・事業主は全体の29.0%を占めた。週平均労働時間は40.7時間(前年同月40.0時間)。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の68.8%(同64.4%)だった。

 一方、不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者を含む)数は前年同月比0.9%減の539万人。不完全就業率は11.0%(前年同月11.2%)。不完全就労者全体の58.9%が労働時間週40時間以下だった。

 フィリピン労働力調査(LFS)
項目 2023年3月 2024年2月 2024年3月
15歳以上人口(単位:千人) 77,256 78,307 78,315
労働力参加率(%) 66.0 64.8 65.3
失業率(%) 4.7 3.5 3.9
不完全就業率(%) 11.2 12.4 11.0
週平均労働時間(h) 40.0 40.1 40.7
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、2023年3月以外は速報値)

 フィリピンの失業率等の比較(単位:%)
全国 労働参加率 失業率 不完全就業率
2019年 61.3 5.1 13.8
2020年 59.5 10.3 16.2
2021年 63.3 7.8 15.9
2022年 64.7 5.4 14.2
2023年 64.9 4.3 12.3
 
2023年 3月 66.0 4.7 11.2
4月 65.1 4.5 12.9
5月 65.3 4.3 11.7
6月 66.1 4.5 12.0
7月 60.1 4.8 15.9
8月 64.7 4.4 11.7
9月 64.1 4.5 10.7
10月 63.9 4.2 11.7
11月 65.9 3.6 11.7
12月 66.6 3.1 11.9
2024年 1月 61.1 4.5 13.9
2月 64.8 3.5 12.4
3月 65.3 3.9 11.0
3カ月間の平均 63.8 4.0 12.4
(出所:PSA資料より作成、2023年3月以降全て速報値)