第1四半期の財閥13社、帰属純利益3%増の822億ペソ
収入断トツのサンミゲルが為替損で94%減益、利益首位はSM
2024/05/20
フィリピン証券取引所(PSE)上場の財閥系複合企業の2024年第1四半期の事業報告書が出揃った。2023年10月9日に自主的に上場廃止となったメトロ パシフィック インベストメンツ社(MPIC)の事業報告書が未提出のため下表の集計からは外したが、MPICの当第1四半期の帰属純利益は前年同期比21%増の61億ペソであったことが確認されている。
上場12社のうち、アボイティス エクイティ(証券コード:AEV)、ロペスホールディングス(LPZ)、DMCIホールディングス(DMC)の3社が減収となった。AEVは電力スポット価格の値下がりによる電力部門の減収、DMCは石炭価格反落が響いた。収入の首位は、サンミゲル(SMC)で、収入額は3,927億ペソ、2位のSMインベストメンツ(SM)1,437億ペソの2.7倍に達している。サンミゲルは売上規模の大きい石油販売や電力事業を有している。損益に関しては、SMインベツトメンツが総純利益252億ペソ、帰属純利益184億ペソでともに首位である。名門のアヤラコーポレーション(AC)は、総純利益174億ペソで第2位、帰属純利益も131億ペソで第2位であった。
帰属純損益ベースでの増益企業は12社中9社でそのうち黒字転換が1社だった。減益は3社。MPICを含めると増益企業は10社となる。総純利益ベースでの増益率トップはJGサミット(JGS)の91%、次いでフィルインベスト デベロップメント(FDC)の27%、ACの22%であった。帰属ベースの増益率トップはJGSの119%、次いでFDCの36%であった。一方、SMC、アライアンス グローバル(AGI)、DMCは二桁減益。DMCは前年が石炭出荷価格の急騰で大幅増益となった反動といえるが、利益額は依然高水準。SMCの帰属純利益は94%減の5億ペソへと激減しているが、SMCは為替差損益を除いた純利益は61%増の145億ペソと発表している。
MPICを加えた13社の合計帰属純利益は821億7,100万ペソで、前年同期の795億ペソから3%増と伸び悩んだ。SMCの94%減益が響いているが、SMCは為替損を除けば増益とのことであり、業界全体として堅調であったといえよう。
<管轄事業の範囲等に要注意>
ユーチェンコ財閥のハウス オブ インベストメント(証券コード:HI)の収益規模が低水準に見えるのは、主力のリサール商業銀行(RCB)が含まれていないことなどによる。また、ルシオ・タン氏率いるLTグループ(LTG)にフィリピン航空が含まれておらず、ゴコンウェイ財閥の旗艦企業であるJGサミット(JGS)には格安航空最大手のセブ航空(CEB、ブランド名:セブ パシフィック航空)が含まれていることに留意する必要がある。
財閥系複合企業の2024年第1四半期の決算動向(単位:百万ペソ)
(出所:各社の年次報告書などより作成)
財閥系複合企業の2023年の決算動向(単位:百万ペソ)
(出所:各社の年次報告書などより作成)
上場12社のうち、アボイティス エクイティ(証券コード:AEV)、ロペスホールディングス(LPZ)、DMCIホールディングス(DMC)の3社が減収となった。AEVは電力スポット価格の値下がりによる電力部門の減収、DMCは石炭価格反落が響いた。収入の首位は、サンミゲル(SMC)で、収入額は3,927億ペソ、2位のSMインベストメンツ(SM)1,437億ペソの2.7倍に達している。サンミゲルは売上規模の大きい石油販売や電力事業を有している。損益に関しては、SMインベツトメンツが総純利益252億ペソ、帰属純利益184億ペソでともに首位である。名門のアヤラコーポレーション(AC)は、総純利益174億ペソで第2位、帰属純利益も131億ペソで第2位であった。
帰属純損益ベースでの増益企業は12社中9社でそのうち黒字転換が1社だった。減益は3社。MPICを含めると増益企業は10社となる。総純利益ベースでの増益率トップはJGサミット(JGS)の91%、次いでフィルインベスト デベロップメント(FDC)の27%、ACの22%であった。帰属ベースの増益率トップはJGSの119%、次いでFDCの36%であった。一方、SMC、アライアンス グローバル(AGI)、DMCは二桁減益。DMCは前年が石炭出荷価格の急騰で大幅増益となった反動といえるが、利益額は依然高水準。SMCの帰属純利益は94%減の5億ペソへと激減しているが、SMCは為替差損益を除いた純利益は61%増の145億ペソと発表している。
MPICを加えた13社の合計帰属純利益は821億7,100万ペソで、前年同期の795億ペソから3%増と伸び悩んだ。SMCの94%減益が響いているが、SMCは為替損を除けば増益とのことであり、業界全体として堅調であったといえよう。
<管轄事業の範囲等に要注意>
ユーチェンコ財閥のハウス オブ インベストメント(証券コード:HI)の収益規模が低水準に見えるのは、主力のリサール商業銀行(RCB)が含まれていないことなどによる。また、ルシオ・タン氏率いるLTグループ(LTG)にフィリピン航空が含まれておらず、ゴコンウェイ財閥の旗艦企業であるJGサミット(JGS)には格安航空最大手のセブ航空(CEB、ブランド名:セブ パシフィック航空)が含まれていることに留意する必要がある。
財閥系複合企業の2024年第1四半期の決算動向(単位:百万ペソ)
企業名 | 財閥・総帥名 | 収入 | 増減率 | 純利益 | 増減率 | 帰属純利益 | 増減率 |
サンミゲル | サンミゲル | 392,713 | 13% | 8,887 | -50% | 509 | -94% |
SMインベストメンツ | SM | 143,720 | 4% | 25,238 | 6% | 18,394 | 6% |
JGサミット | ゴコンウェイ | 96,742 | 18% | 15,228 | 91% | 10,955 | 119% |
アヤラコーポレーション | アヤラ | 75,728 | 15% | 17,375 | 22% | 13,073 | 28% |
GTキャピタル | メトロバンク | 74,104 | 6% | 9,302 | 4% | 7,112 | 7% |
アボイティス エクイティ | アボイティス | 69,099 | -9% | 9,057 | 8% | 4,901 | 22% |
アライアンス グローバル | アンドリュー・タン | 49,403 | 3% | 6,607 | -7% | 4,216 | -10% |
ロペス ホールディングス | ロペス | 39,125 | -8% | 7,007 | -12% | 1,752 | 5% |
LTグループ | ルシオ・タン | 28,506 | 9% | 8,827 | 3% | 6,416 | 1% |
DMCIホールディングス | コンスンヒ | 27,430 | -17% | 8,435 | -26% | 5,604 | -25% |
フィルインベスト デベロップ | ゴティアヌン | 24,038 | 28% | 3,688 | 27% | 2,922 | 36% |
ハウス オブ インベストメンツ | ユーチェンコ | 8,235 | 186% | 677 | 黒字化 | 246 | 黒字化 |
財閥系複合企業の2023年の決算動向(単位:百万ペソ)
企業名 | 財閥・総帥名 | 収入 | 増減率 | 純利益 | 増減率 | 帰属純利益 | 増減率 |
サンミゲル | サンミゲル | 1,446,703 | -4% | 44,699 | 67% | 198 | 黒字化 |
SMインベストメンツ | SM | 616,252 | 11% | 106,185 | 26% | 76,989 | 25% |
JGサミット | ゴコンウェイ | 343,969 | 14% | 33,425 | 416% | 20,045 | 2981% |
アボイティス エクイティ | アボイティス | 310,619 | 1% | 42,921 | 11% | 23,546 | -2% |
GTキャピタル | メトロバンク | 306,701 | 25% | 36,305 | 67% | 28,743 | 57% |
アヤラコーポレーション | アヤラ | 289,905 | 10% | 55,176 | 20% | 38,073 | 39% |
アライアンス グローバル | アンドリュー・タン | 211,200 | 15% | 30,300 | 20% | 19,600 | 21% |
ロペス ホールディングス | ロペス | 164,952 | -3% | 23,535 | 5% | 2,850 | -48% |
DMCIホールディングス | コンスンヒ | 122,829 | -14% | 36,837 | -24% | 24,722 | -20% |
LTグループ | ルシオ・タン | 115,299 | 14% | 34,016 | 11% | 25,421 | 1% |
フィルインベスト デベロップ | ゴティアヌン | 82,793 | 28% | 12,137 | 46% | 8,947 | 58% |
ハウス オブ インベストメンツ | ユーチェンコ | 11,094 | 17% | 616 | -64% | 441 | -62% |
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