第1四半期の小売企業10社、増益と減益が半々

SMリテールが収益ともに首位、セブン-イレブン続伸

2024/05/24

 フィリピン証券取引所(PSE)上場の小売企業の2024年第1四半期の業報告書提出が出揃った。非上場ではあるが最大手の総合小売企業であるSMリテールの業績概要についても、親会社のSMインベツトメンツ(証券コード:SM)の事業報告書で明らかとなった。

 今第1四半期は業態などによって明暗が別れた。また、昨年4月だった4連休のイースター休暇が今年は3月に当たり営業日が短くなったことの影響を受けた企業もあった。主要上場企業9社とSMリテール計10社のうち5社が増益、5社が減益であった。

 最大手のSMリテールの収入は前年同期比(以下同様)3%増の937億ペソ、純利益は25%減の33億ペソで小幅増収二桁減益となった。前年同期が22%増収で51%増益と絶好調であったことの反動といえよう。百貨店や高級品・贅沢品の売上比率の高いルスタンで知られるSSIグループ(証券コード:SSI)も21%減益であったが、前年同期の39%増収573%増益の反動といえる。

 一方、食料品や必需品の比率が高いピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド、証券コード:PGOLD)は7%増収5%増益と堅調。最大のコンビニエンスストアチェーンであるセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)も25%増収21%増益と続伸(詳細別掲)であった。

 なお、663%増益と最大の増益率となったロビンソンズ リテール(証券コード:RRHI)は、今年初めに完了したアヤラ系拡大商業銀行大手バンク オブ フィリピン アイランズ(BPI)とロビンソンズ銀行の合併から生じた一時的な売買益による。一時的損益を除いたコア純利益は9%増の12億ペソ、すなわち、実質9%増益であった。

 このような一時的損益を除いた純利益では、上記のようにSMリテールが33億ペソで首位。売上高もSMリテールが937億ペソで断トツであった。

 上場小売企業とSMリテールの2024年第1四半期の業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 店舗数 収入 増減率 純利益 増減率 純利益率
ピュアゴールド プライスクラブ 577 48,064 6.5% 2,479 3.0% 5.2%
ロビンソンズ リテール 2,399 46,251 2.9% 5,216 663.4% 11.3%
フィリピン・セブン 3,829 20,922 19.4% 639 21.2% 3.1%
メトロ リテールストアーズ G 64 8,822 5.1% 50 -16.2% 0.6%
ウイルコン デポ 93 8,439 -3.5% 740 -23.1% 8.8%
SSIグループ 534 6,563 5.2% 360 -21.1% 5.5%
オールホーム 72 2,761 -5.5% 140 -33.9% 5.1%
オールデーマーツ N.A. 2,468 1.1% 97 9.5% 3.9%
メリーマート・コンシューマー N.A. 1,889 36.2% 6 52.2% 0.3%
SMリテール(SMICが上場) 3,987 93,721 2.8% 3,300 -25.4% 3.5%
(出所:2024年第1四半期の事業報告書などより作成)

 上場小売企業とSMリテールの2023年の業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 店舗数 収入 増減率 純利益 増減率 純利益率
ピュアゴールド プライスクラブ 568 202,307 7.9% 8,596 -7.4% 4.2%
ロビンソンズ リテール 2,393 193,315 7.4% 4,649 -27.8% 2.4%
フィリピン・セブン 3,768 79,194 24.8% 3,483 69.3% 4.4%
メトロ リテールストアーズ G 64 38,584 0.6% 618 -32.6% 1.6%
ウイルコン デポ 90 35,117 3.4% 3,483 -9.5% 9.9%
SSIグループ 534 27,746 16.6% 2,580 33.7% 9.3%
オールホーム 72 12,066 -4.0% 797 -14.6% 6.6%
オールデーマーツ 40 10,194 4.4% 369 22.3% 3.6%
メリーマート・コンシューマー 126 6,973 18.5% 408 -28.9% 5.9%
SMリテール(SMICが上場) 3,853 414,602 9.7% 22,066 10.8% 5.3%
(出所:2023年の年次事業報告書などより作成)