大日本印刷、比で低温度帯のデジタル配送推進

「ラストワンマイル」のコールドチェーンの実現へ

2024/06/11

 大日本印刷(DNP)は、5月17日にマニラで開催された「Asia and the Pacific Transport Forum 2024」(主催:アジア開発銀行)に参加し、「DNP多機能断熱ボックスと物流配送管理システムを活用したコールドチェーンソリューション」について紹介した。

 この取り組みは、電源無しで内部の温度を長時間一定に保つ「DNP多機能断熱ボックス」とDNPが開発したデジタル配送管理システムを活用し、フィリピンの低温度帯配送「コールドチェーン」市場に新たな選択肢の提供を目指すものである。冷蔵車不足や都心部の渋滞等の課題があるフィリピンにおけるこのソリューションの受容性を検証しており、この取り組みを推進しているDNPのモビリティ事業部の神戸博文氏が講演した。

 フィリピンでは、配送ドライバーの不足や都心部の深刻な慢性的渋滞、配送の仕組みの整備遅れなど、物流に関する多くの課題があり、近年は特にオンラインショッピングやフードデリバリーの急増を受けて、これらの課題が深刻化している。

 DNPはこうした課題の解決を目指し、ユニアデックス、Global Mobility Service(GMS)と、フィリピンで合弁会社「3Q DASH TECHNOLOX, INC.」を2022年に設立し、フィリピンの物流市場でMaaS(Mobility as a Service)の事業を展開している。

 2023年2月には、MaaSを通じた低温度帯配送「コールドチェーン」の拡大と雇用創出の可能性を検証する実証事業を実施した。物流の最終拠点からエンドユーザーの手元までの「ラストワンマイル」のコールドチェーンの実現に向けて、「DNP多機能断熱ボックス」とデジタル配送管理システムを活用した物流サービスの実現性、市場受容性を検証した。

 この検証結果を踏まえてDNPは、フィリピンをはじめとする東南アジアや、各国・地域の市場に向けて、「DNP多機能断熱ボックス」とデジタル配送管理システムを活用して、より安価で簡便にコールドチェーンを実現する仕組みの構築を図っていく方針である。