日本、比に大型巡視船5隻を追加供与(644億円)

第3次比沿岸警備隊能力強化事業、累積供与17隻に

2024/06/13

 国際協力機構(JICA)は、6月10日マニラにて、フィリピン政府との間で「フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化事業(フェーズIII)」を対象とした643億8,000万円を限度とする円借款貸付契約(L/A)に調印した。調印式には、遠藤和也駐フィリピン日本国大使も出席した。

 この円借款案件には本邦技術活用条件(STEP)が適用され、日本の技術として、高張力鋼とアルミ合金のハイブリッド構造の接合技術等が活用される。STEPは、日本の優れた技術やノウハウを活用し、開発途上国への技術移転を通じて日本の「顔が見える援助」を促進するため、平成14年(2002年)7月に導入されたものである。

 PCG海上安全対応能力強化事業(フェーズ3)については、フェーズ1(2013年12月署名、供与限度額187億円、44メートル級多目的船10隻供与)、フェーズ2(2016年10月署名、供与限度額165億円、97メートル級多目的船2隻供与)に引き続き、PCGへ97メートル級多目的船5隻を追加供与するためにフィリピン政府に融資するものである。金利は年0.3%(コンサルティングサービスは年0.2%)、償還期間は40年(10年の据置期間を含む)。

 この追加供与により、フィリピン沿岸警備隊が沿岸域内及び沖合での海難救助や海上法執行等の業務を迅速かつ適切に実施するための能力向上を図り、フィリピンの海上安全の向上に寄与することが期待される。フェーズ1から3までで合計17隻の供与となる。フェーズ3における5隻の引き渡しは、2028年12月に完了と予定されている。

 なお、2022年に供与された2隻の大型巡視船は、三菱造船が建造した約96.6メートル、最大速力24ノット、4,000海里以上の航続距離能力を有する高性能巡視船。排他的経済水域(EEZ)を監視する能力を持つ通信設備やヘリコプター用設備、遠隔操作型の無人潜水機、高速作業艇など、海洋状況の把握と海事法執行活動に必要な装置や機器を装備している。フィリピンのEEZや公海における海難事故や海上犯罪への迅速な対応能力の向上に寄与している。