3月末の対外債務が過去最多に、8%増の1,287億ドル

対GDP比率29.0%、日本断トツの債権国も円建ては8.6%

2024/06/17

 フィリピン中央銀行(BSP)によると、2024年3月末時点のフィリピンの対外債務残高は1,287億米ドルとなり、2023年12月末時点の1,254億米ドルから33億米ドル、率にして2.6%増加した。また2023年3月末時点の1,188億米ドルと比べ8.3%の増加だった。そして、四半期末ベースでの過去最多を更新した。

 対外債務残高の国内総生産(GDP)に占める割合即ち対外債務比率は29.0%となり、前年12月末時点の28.7%、前年3月末時点の28.9%から小幅上昇した。

 BSPによると、主要な対外負債指標は依然として対処可能なレベルである。2024年3月末時点の総外貨準備高(GIR)は1,041億米ドルで、残存ベース短期対外負債の3.8倍に相当する水準である。債務元利返済負担の物品輸出およびサービス・一次所得からの収入に占める割合である対外債務デットサービスレシオ(債務返済比率、DSR)は8.9%で、前年3月末の13.1%から改善した。これは、2024年第1四半期に予定されていた債務返済が少なかったことによる。

 2024年3月末時点の対外債務残高1,287億米ドルのうち中長期債務比率は86.7%(1,116億米ドル)。中長期債務の満期までの平均期間は16.8年(公的部門20.1年、民間7.6年)。公的部門の対外債務は789億米ドル(シェア61.3%)で、2023年12月末の778億米ドル(シェア62.1%)レベルから1.4%増加した。789億米ドルの91.6%にあたる約723億米ドルは政府借入、残り66億米ドルは国営・政府系企業、政府金融機関、BSPの借入だった。一方、民間部門の対外債務は498億米ドル(シェア38.7%)で、12月末時点の476億米ドルから4.7%増となった。

 最大の債権国は日本(152億米ドル)、次いで英国(46億米ドル)、オランダ(39億米ドル)。公的資金源からの貸付(多国間・二国間債権国)が債務残高の39.4%を占め、次いで債券形式での借入が32.8%、外国銀行及び他の金融機関からの借入が22.1%を占めた。対外債務の通貨別構成比は、米ドル建て76.0% 、円建て8.6%、その他17通貨建て15.6%(フィリピンペソ7.2%、ユーロ4.6%、SDR2.9%)であった。

 対外債務指標比較  (単位:億米ドル、%)
年・月 年末値 第1四半期
19年 20年 21年 22年 23年 23年 24年
対外債務残高(億米ドル) 836 985 1,064 1,113 1,254 1,188 1,287
対GNI比(%) 20.2 25.3 26.1 26.0 25.8 27.1 25.9
対GDP比(%) 22.2 27.2 27.0 27.5 28.7 28.9 29.0
デットサービスレシオ(%) 6.7 6.7 7.5 6.3 10.2 13.1 8.9
GIR対債務返済負担比率(%) 1,009.5 1,461.3 1,193.4 1,119.7 703.3 876.9 761.0
GIR対元本ベース短期債務比率(%) 396.5 520.2 552.2 395.1 353.6 427.4 379.3
(出所:BSP資料より作成)