PSE上場企業数が停滞、上半期は1社純増で6月末284社に

新規上場2社で上場廃止が1社、23年は3社純減(上場廃止6社)

2024/06/21

 フィリピン証券取引所(PSE)の上場企業数は低水準であるうえ、このところPSEの新規上場促進努力にもかかわらず伸び悩みが続いている。
 
 2024年6月14日時点のPSE上場企業数は284社で、2023年末の283社から1社の純増にとどまっている。284社の業種別内訳は金融30社、工業74社、持株会社34社、不動産47社、サービス65社、鉱業・石油(資源開発)23社。これらの6月14日現在の時価総額は約17兆3,658億ペソ。
 
 2024年第1四半期の上場企業数の1社純増は、IPO(新規公募)・新規上場が2社であった一方、セブ ホールディングスがアヤラランド(証券コード:ALI)に吸収合併されたことで、3月1日に上場廃止となったことによる。新規上場は5月13日の鉱山企業オセアナゴールド フィリピン(OGP)と、6月7日の再生可能エネルギー企業であるシティコア リニューアブルエナジー(CREC)である。

 6月20日時点では、今上半期中は上記以外の新規上場、上場廃止の予定はないことから、6月末の上場企業数は284社となる。しかし、カジノ・娯楽関連企業であるプレミアム レジャー コーポレーション(証券コード:PLC)が、PSEに対し、2024年7月9日付けでのPSEからの自主的上場廃止を申請している。
 
 なお、2023年1年間では上場企業数が3社純減、2023年末の上場企業数は283社へと減少した。2023年は上場廃止が6社(自主的上場廃止4社、強制的上場廃止2社)に達した一方、新規上場社数が3社にとどまったことによる。

 PSEにおけるIPOや新規上場社数は周辺国に比べ低水準で推移している。PSEにおける新規上場社数は、裏口上場(バックドア・リスティング)を除くと、2014年7社、2015年から2017年までは各々4社、2018年は1社のみ、2019年と2020年も4社のみであった。2021年は8社、そして、2022年は10社(うち1社はIPOを経ないイントロダクション方式での上場)へと増加したが依然低水準。裏口上場は既存上場企業の衣替えであり上場企業数が増えるわけではない。正式な新規上場企業数増加が喫緊の課題といえよう。

 PSEは、2024年は市場環境が好転し、IPO・新規上場案件が回復すると見込んでいた。年初時点で6社以上とIPO・新規上場に関して討議していたとのことである。2023年からの持ち越し案件もあり、最低でも4~5社がIPO・新規上場を予定、2023年の3社からは増加しそうとのことである。しかし、上半期は結局2社にとどまっているうえ、利下げ先送りでドラスティックな市場環境の好転は期待できない状況であり、年間でも低水準と懸念される。