南シナ海に関する比中仲裁判断発出から8周年

上川外務大臣、中国に判断遵守求める談話発表

2024/07/14

 7月12日、南シナ海に関する比中仲裁判断発出から8年を迎えて、上川陽子外務大臣は次のような談話を発表した(以下、この発表原文のまま)。

1.7月12日、『南シナ海に関する比中仲裁判断の発出から8年が経過しました。国連海洋法条約の規定に基づき、仲裁判断は最終的であり、紛争当事国であるフィリピンと中国を法的に拘束するものです。

2.法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化することは、大小を問わず全ての国の利益となるものです。こうした考えの下、我が国は、一貫して比中仲裁判断に従い、南シナ海における紛争の平和的解決にコミットメントを示しているフィリピン政府の立場を高く評価しています。

3.仲裁判断を受け入れないという中国の主張は、国連海洋法条約を始めとする国際法に従った紛争の平和的解決の原則に反しており、国際社会における「法の支配」を損なうものです。我が国は、当事国がこの判断に従うことにより、南シナ海における紛争の平和的解決につながることを強く期待します。

4.我が国は、南シナ海において、国連海洋法条約と整合的でない海洋権益の主張をすることに改めて反対します。また、この機会に、最近のフィリピン船舶の損傷及び乗組員の負傷につながった危険な行動を含め、航行の自由を妨害し、地域の緊張を高める行為が繰り返されていることに対し、改めて深刻な懸念を表明します。

5.本年7月8日の第2回日・フィリピン外務・防衛閣僚会合においてフィリピンとの間で再確認したとおり、我が国は、力や威圧により平穏に確立された現状を変更しようとするあらゆる一方的な試みに強く反対します。また、中国に対し、最終的かつ法的拘束力を有する、南シナ海に関する2016年の仲裁判断を遵守するよう求めます。

7.我が国は、本年4月の日比米首脳による共同ビジョンステートメント及び本年6月のG7プーリア首脳コミュニケといった様々なイニシアティブを想起し、引き続き、ASEAN諸国や米国を始めとする国際社会と連携しながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持及び強化を推進していきます。』