ADBのフィリピン成長率予想、東南アジアで最高

2024年6.0%、2025年6.2%でベトナムと同率首位

2024/07/18

 アジア開発銀行(ADB)は、7月17日に発表した『アジア経済見通し(ADO)2024年7月版』において、2024年のアジア・太平洋地域の開発途上国GDP成長率予想を4月時点の4.9%から5.0%へと僅かながら上方修正した。これは、地域の輸出の増加が堅調な内需を補完していることによる。2025年の成長予想は4.9%に据え置かれた。

 東南アジアの成長率については、2024年4.6%、2025年4.7%とこれまでの予想が据え置かれた。

 フィリピンGDP成長率予想に関しては、下表のとおり、2024年が6.0%、2025年が6.2%とこれまでの予想が据え置かれた。両年ともに、ベトナムと並んで東南アジアで最高の成長率となると見られている。なお、フィリピンの総合インフレ率については、2024年が3.8%、2024年が3.4%で両年ともにこれまでの予想が据え置かれ、政府のインフレ目標(2%~4%)内に収斂すると見られている。

 ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

 東南アジア等の実質GDP成長率推移(単位:%、予想は24年7月時点のアジア開発銀行)
国・地域 2022年実績  2023年実績 2024年予 2025年予 
アジア開発途上国 4.3  5.1 5.0 4.9
  東南アジア 5.7  4.1 4.6 4.7
    フィリピン 7.6  5.5  6.0 6.2 
    インドネシア 5.3  5.0  5.0 5.0 
    マレーシア 8.7  3.7 4.5 4.6
    シンガポール 3.8  1.1 2.4 2.6
    タイ 2.5  1.9  2.6 3.0
    ベトナム 8.0  5.1 6.0 6.2
  (出所:アジア開発銀行資料より作成)