販売断トツの比トヨタ、アフターケアにも注力

サテライトサービスハブ設置などを検討

2024/07/24

 トヨタ自動車のフィリピンでの製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP、所在地:ラグナ州サンタロサ市トヨタ特別経済区)の販売、業績が好調に推移している。

 TMPは、2023年まで22年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)を維持している。個別モデル販売ランキングにおいても常に上位を独占している。過去10年間、すなわち2014年から2023年までにおいて、TMPは約150万台の車を販売した。年間平均で約15万台で、2014年に初めて10万台を超え、2023年にはほぼ20万台に達し、市場シェアも約46%と高水準。現在、フィリピン国内で販売される新車の約半数がトヨタ車であるという状況である。

 このように販売は非常に好調であるが、TMPは、アフターセールスサービスインフラは好調な販売に追いついていないと考えている。現在、フィリピン全土に73店のフルサービスディーラーを展開しているが、オイル交換や定期点検などの基本的な作業でも待ち時間が長く、事故の修理の待ち時間の長さは深刻である。

 TMPによれば、ディーラーとの間でサービス体制拡充交渉が行われているが、用地、建設、設備、人員などのコストが課題である。そのため、TMP自身がサービス施設を設立する可能性も検討しているとのことである。具体的には車体修理やと塗装を扱うサテライトサービス施設の設置が考えられている。

 サテライトサービスセンターでは、初期段階として衝突修理などのBP作業に特化し、将来的に他の基本的な要件も処理できるようにすると想定している。このようなサテライトサービスセンターの運営方法については現在詳細は明らかにされていないし、ディーラーの事業との棲み分けに関してデリケートな問題となる可能性もある。

 しかし、TMPの販売一段と増加し年間20万台以上となるような状況下で、アフターセールスサービスを向上させるためには、サテライトサービスセンターが唯一の選択肢となるかもしれないとのことである。
 
 なお、TMPは1988年8月に設立された。現在の出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産6%、マキシマス マネジメントホールディングス9%、GTCAP51%。また、販社「レクサス マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業した「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。

 表1.トヨタモーター フィリピンの生産台数と販売台数推移
項目 2017年 2018年 2019年 2020年 2032年 2022年 2023年 23年伸び率 
販売台数 183,908 153,004 162,011 100,019 129,667 174,106 198,188 13.8% 
生産台数 61,954 46,117 54,028 35,226 48,758 49,862 56,298 12.9% 
 (出所:TMPサステナビリティレポートなどより作成)

 
表2.トヨタモーター フィリピンの年間業績等の推移(単位:百万ペソ)
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 伸び率
売上高 185,337 158,941 168,616 99,847 131,275 183,810 227,101 23.6%
粗利益 23,059 16,620 21,143 13,022 14,545 16,805 30,380 80.8%
営業利益 16,798 10,255 12,786 4,545 6,641 7,418 17,888 141.1%
帰属純利益 13,186 7,882 9,082  3,306 6,024 5,657 13,832 144.5%
総資産 42,158 36,428 38,751 45,059 44,937 45,343 69,264 52.8%
株主資本 19,148 15,238 15,608  9,500 12,853 12,702 21,191 66.8%
 (出所:GTキャピタル資料より作成)