三菱UFJが「Gキャッシュ」に参画へ、633億円投資
運営企業のアヤラ系Mynt社に約8%の出資決定
2024/08/03
三菱UFJ銀行は、8月2日、「フィリピンでデジタル金融サービスを提供するグローブ フィンテック イノベーションズ(Mynt社)への3億9,300万米ドル(約633億円)の出資を決定した」と発表した。出資が完了すると、Mynt社株式の約8%を保有することになると試算される。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が第二のマザーマーケットと位置づけるアジアでは、テクノロジーを駆使したデジタル金融サービス事業者が、これまで伝統的商業銀行がサービスを提供できなかったアンダーバンクト・アンバンクト層への金融サービスを提供する潮流が加速している。
MUFGは同領域の成長を取り込むために、2020年に配車サービス企業Grabに出資、2022年にはスマホ金融などを手掛けるオランダのホームクレジットのフィリピンとインドネシア事業買収、インドネシアの後払い決済企業アクラクへの出資、2024年6月にはタイのモバイル決済企業アセンドマネーへ出資するなど東南アジアでデジタル金融事業を拡大してきている。
フィリピンは銀行口座保有率が低く、伝統的な金融サービスが十分に行き届いていないアンダーバンクト・アンバンクト層が存在する一方で、携帯電話やインターネット普及率が高く、デジタル金融サービスが発展する素地がある国である。
Mynt社は、アヤラ財閥の旗艦企業であるアヤラコーポレーション(証券コード:AC)や携帯通信企業グローブテレコム(証券コード:GLO)傘下で、モバイル決済システムであるE-Wallet「Gキャッシュ」を運営するデジタル金融におけるリーディングカンパニーである。また、E-Wallet事業で得たデータを活用しデジタルレンディング事業を拡大している。
三菱UFJ銀行のMynt出資は、フィリピンのデジタル金融の成長の取り込みを目的とした戦略的出資である。オンライン、オフラインの多様なユースケースを通じて消費者の日常生活に広く浸透したMynt社への出資により、広範な顧客基盤への接点を実現すると共に、更なるフィリピンの金融包摂に貢献していく方針である。
また、Mynt社をMUFGのデジタルエコシステムの新たな中核企業として迎えることで、デジタル技術に係る知見蓄積を進め「MODE」を一段と深化すると共に、Mynt社を始めとするアヤラグループと、MUFGグループにおける事業協働の機会も追求していく。上記のタイのアセンドマネーに続く、フィリピンにおけるデジタル金融のトッププレイヤーへの戦略出資を通じて、より一層アジアにおけるMUFGのプラットフォームを強固にすると共に、中長期的なMUFGのフランチャイズバリューの拡大に取り組んで行く方針である。
なお、Mynt社の既存株主であるアヤラコーポレーションも、7月30日開催の取締役会において、229億ペソでMynt社株式約8%を追加取得することを決議した。追加取得が実現するとMynt社保有比率は5%から13%へと上昇する(詳細別掲)。
<Mynt 社の概要>
Mynt社は、フィリピンで初の企業評価額50億米ドル規模のユニコーン企業である。傘下に「Gキャッシュ」を提供するGXI社と、マイクロローンやビジネスローン等のコンシューマファイナンスを提供するFuse Lendingの2社のフィンテック企業を運営している。
「Gキャッシュ」登録者数は、新型コロナパンデミックで非接触型支払い志向が高まったこともあって、2020年末に前年末比65%増の3,300万人、2021年末に同82%増の6,000万人と急増を続けた。その後も順調に拡大を続け、2023年末には9,000万人超に達したとのことである。単純計算では、フィリピン国民の8割以上がGキャッシュを利用、あるいは利用意向を有するようになっている。
Mynt社は既に黒字化している。Mynt社の2023年のグローブテレコムへの税引き前利益(NIBT)貢献額は前年比193%増の23億7,000万ペソと大幅増加、グローブのNIBTへの貢献度は7.3%に達した。2024年第1四半期のNIBT貢献額は前年同期比130%増の10億2,600万ペソ、貢献度は12%に達し、前年同期の4%から急上昇した。
Mynt社には、中国の電子商取引最大手アリババ グループ ホールディング(阿里巴巴)傘下企業でありオンライン決済サービス「Alipay(支付宝)」を展開するアント ファイナンシャル サービス グループ(アント)や、ニューヨークを拠点とするファンド管理企業であるBOW WAVEキャピタル・マネジメント(BOW WAVE)の運営するパートナーシップ・ファンド「ASPフィリピン」なども出資している。2023年末の出資比率はグローブが約35%、アントが約34%と拮抗するようになったと試算される。
グローブテレコムはこのMynt社のIPO(新規公開)・フィリピン証券取引所(PSE)への新規上場を計画している。2023年に上場が期待される時期もあったが、投資環境の悪化もあって、現時点では2025年の上場が有力視されている。また、流動性という観点から、PSEの後に米国株式市場への上場、すなわち、フィリピンと米国での重複上場を検討しているとのことでもある。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が第二のマザーマーケットと位置づけるアジアでは、テクノロジーを駆使したデジタル金融サービス事業者が、これまで伝統的商業銀行がサービスを提供できなかったアンダーバンクト・アンバンクト層への金融サービスを提供する潮流が加速している。
MUFGは同領域の成長を取り込むために、2020年に配車サービス企業Grabに出資、2022年にはスマホ金融などを手掛けるオランダのホームクレジットのフィリピンとインドネシア事業買収、インドネシアの後払い決済企業アクラクへの出資、2024年6月にはタイのモバイル決済企業アセンドマネーへ出資するなど東南アジアでデジタル金融事業を拡大してきている。
フィリピンは銀行口座保有率が低く、伝統的な金融サービスが十分に行き届いていないアンダーバンクト・アンバンクト層が存在する一方で、携帯電話やインターネット普及率が高く、デジタル金融サービスが発展する素地がある国である。
Mynt社は、アヤラ財閥の旗艦企業であるアヤラコーポレーション(証券コード:AC)や携帯通信企業グローブテレコム(証券コード:GLO)傘下で、モバイル決済システムであるE-Wallet「Gキャッシュ」を運営するデジタル金融におけるリーディングカンパニーである。また、E-Wallet事業で得たデータを活用しデジタルレンディング事業を拡大している。
三菱UFJ銀行のMynt出資は、フィリピンのデジタル金融の成長の取り込みを目的とした戦略的出資である。オンライン、オフラインの多様なユースケースを通じて消費者の日常生活に広く浸透したMynt社への出資により、広範な顧客基盤への接点を実現すると共に、更なるフィリピンの金融包摂に貢献していく方針である。
また、Mynt社をMUFGのデジタルエコシステムの新たな中核企業として迎えることで、デジタル技術に係る知見蓄積を進め「MODE」を一段と深化すると共に、Mynt社を始めとするアヤラグループと、MUFGグループにおける事業協働の機会も追求していく。上記のタイのアセンドマネーに続く、フィリピンにおけるデジタル金融のトッププレイヤーへの戦略出資を通じて、より一層アジアにおけるMUFGのプラットフォームを強固にすると共に、中長期的なMUFGのフランチャイズバリューの拡大に取り組んで行く方針である。
なお、Mynt社の既存株主であるアヤラコーポレーションも、7月30日開催の取締役会において、229億ペソでMynt社株式約8%を追加取得することを決議した。追加取得が実現するとMynt社保有比率は5%から13%へと上昇する(詳細別掲)。
<Mynt 社の概要>
Mynt社は、フィリピンで初の企業評価額50億米ドル規模のユニコーン企業である。傘下に「Gキャッシュ」を提供するGXI社と、マイクロローンやビジネスローン等のコンシューマファイナンスを提供するFuse Lendingの2社のフィンテック企業を運営している。
「Gキャッシュ」登録者数は、新型コロナパンデミックで非接触型支払い志向が高まったこともあって、2020年末に前年末比65%増の3,300万人、2021年末に同82%増の6,000万人と急増を続けた。その後も順調に拡大を続け、2023年末には9,000万人超に達したとのことである。単純計算では、フィリピン国民の8割以上がGキャッシュを利用、あるいは利用意向を有するようになっている。
Mynt社は既に黒字化している。Mynt社の2023年のグローブテレコムへの税引き前利益(NIBT)貢献額は前年比193%増の23億7,000万ペソと大幅増加、グローブのNIBTへの貢献度は7.3%に達した。2024年第1四半期のNIBT貢献額は前年同期比130%増の10億2,600万ペソ、貢献度は12%に達し、前年同期の4%から急上昇した。
Mynt社には、中国の電子商取引最大手アリババ グループ ホールディング(阿里巴巴)傘下企業でありオンライン決済サービス「Alipay(支付宝)」を展開するアント ファイナンシャル サービス グループ(アント)や、ニューヨークを拠点とするファンド管理企業であるBOW WAVEキャピタル・マネジメント(BOW WAVE)の運営するパートナーシップ・ファンド「ASPフィリピン」なども出資している。2023年末の出資比率はグローブが約35%、アントが約34%と拮抗するようになったと試算される。
グローブテレコムはこのMynt社のIPO(新規公開)・フィリピン証券取引所(PSE)への新規上場を計画している。2023年に上場が期待される時期もあったが、投資環境の悪化もあって、現時点では2025年の上場が有力視されている。また、流動性という観点から、PSEの後に米国株式市場への上場、すなわち、フィリピンと米国での重複上場を検討しているとのことでもある。