6月の失業率3.1%、6カ月ぶり低水準で過去最低タイに

失業者前年比30%減、不完全就業率は12.1%に上昇

2024/08/08

 フィリピン統計庁(PSA)は、8月7日、2024年6月の労働力調査結果を発表した。

 それによると、2024年6月の失業率は3.1%(速報値)で、前年同月の4.5%から1.4%ポイント、前月(5月)の4.1%から1.0%ポイント低下した。2023年12月の3.1%以来6カ月ぶりの低水準となった。3.1%という失業率は、PSAが2005年4月に現行の集計基準を採用してからの約19年間での最低記録である。すなわち、6月は過去最低記録に並んだといえる。

 2024年6月の15歳以上の人口は前年同月比1.5%増の7,864万人、労働力人口は同1.4%増の5,190万人。労働参加率は66.0%で、前年同月(66.1%)より低下したが、前月(64.8%)からは上昇した。

 失業者数は前年同月比30.4%減の162万人。年齢層でみると、15歳-24歳が全体の35.9%、25歳-34歳が35.2%と合計で全体の71.1%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は31.4%(卒業者は22.5%)、大学進学・卒業者が45.6%(卒業者は33.4%)だった。性別では、男性50.2%、女性49.8%と男性が上回っている。

 就業者数は前年同月比2.9%増の5,028万人。業種別では、農業部門が21.1%(前年同月23.8%)、鉱工業部門が20.2%(同18.1%)、サービス部門が58.7%(同58.1%)だった。サブセクターで、年間増加数の多かった上位5業種は、建設業、卸小売業・自動車・オートバイ修理業、宿泊・飲食サービス業、製造業、輸送・倉庫。一方、最も減少した上位5業種は、農林業、行政・防衛(社会事業)、漁業・水産養殖業、教育、金融・保険業。

 賃金・給与労働者が就業者全体の63.8%を占めた。その中で、民間企業労働者が依然最も高い割合を占め、賃金・給与労働者全体の80.5%、就業者全体の51.4%を占めている。政府系企業社員・公務員が就業者全体の8.0%、自営・事業主は全体の28.7%を占めた。週平均労働時間は40.9時間(前年同月40.0時間)。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の69.2%(同64.9%)だった。

 一方、不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者を含む)の数は前年同月比3.5%増の608万人。不完全就業率は12.1%(前月9.9%、前年同月12.0%)に上昇した。なお、不完全就労者全体の55.9%が労働時間週40時間以下だった。

 フィリピン労働力調査(LFS)
項目 23年6月 24年5月 24年6月
15歳以上人口(単位:千人) 77,440 78,635 78,639
労働力参加率(%) 66.1 64.8 66.0
失業率(%) 4.5 4.1 3.1
不完全就業率(%) 12.0 9.9 12.1
週平均労働時間(h) 40.0 40.6 40.9
(出所:PSA資料より作成、2023年6月以外は速報値)

 
フィリピンの失業率等の比較(単位:%)
全国 労働参加率 失業率 不完全就業率
2023年 6月 66.1 4.5 12.0
7月 60.1 4.8 15.9
8月 64.7 4.4 11.7
9月 64.1 4.5 10.7
10月 63.9 4.2 11.7
11月 65.9 3.6 11.7
12月 66.6 3.1 11.9
2024年 1月 61.1 4.5 13.9
2月 64.8 3.5 12.4
3月 65.3 3.9 11.0
4月 64.1 4.0 14.6
5月 64.8 4.1 9.9
6月 66.0 3.1 12.1
上半期 64.4 3.9 12.3
(出所:PSA資料より作成、2023年6月以外は全て速報値)