サンミゲルビール、上半期の売上高1%増の751億ペソに

純利益7%減ながら126億ペソと高水準、90%超のシェアで高収益

2024/08/19

 フィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲル(証券コード:SMC)グループでビール事業を担当するサンミゲル ブリュワリー(サンミゲル ビール=SMB、現在は非上場企業)の2024年上半期(1月~6月)業績概況が発表された。なお、SMBにはキリン ホールディングス(キリン)が約48%出資している。

 SMBの今上半期の売上高は前年同期比(以下同様)1%増の750億7,300万ペソ。前年同期が14%増の741億ペソと絶好調であり、それとの比較では小幅増収にとどまった。そのうち、国内売上高は1%増の669億9,200万ペソであった。国内販売数量は小幅減少、高インフレによる個人消費の伸び悩みが響いた。一方、海外販売数量は1%減少、売上高は3%減の1億4,200万米ドルであった。

 24年1月からの発酵飲料物品税の引き上げ(1リットル当たり2ペソ)、販売および一般管理費5%増加などにより、営業利益は3%減の158億8,700万ペソ、純利益は7%減の125億6,300万ペソと各々減益。国内事業の純利益は2%減の115億1,600万ペソであった。売上高と同様、絶好調であった前年同期(26%増益)の反動という要素もあり、利益額は依然高水準といえる。

 なお、SMBは、2008年にサンミゲルの国内ビール事業スピンオフで発足したが、2010年初にはサンミゲルの海外ビール事業も取得している。国内シェアは90%以上と圧倒的な強さを誇っている。起源は1890年に東南アジア初のビール醸造企業として設立されたサンミゲルであり、1914年には上海、香港、グアムなどにビール輸出を開始した。そして、1948年には香港初のビール工場を設立するに至った。すなわち、134年の歴史を有する老舗企業といえる。

 キリンは、サンミゲル本体(SMC)への出資というかたちでフィリピンに進出した。その当時はSMC社自身が国内ビール事業を行っていた。しかし、その後、国内ビール事業部門はSMBとして分社化、SMBは2008年5月12日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場された。したがって、キリンは2009年前半に、保有していたSMC株式6億2,867万6,675株(発行済株式総数の19.91%)を売却、SMB株式48.39%を取得したという経緯がある。

 SMBはその後、PSEの浮動株式比率基準(最低10%)未達成で、2013年5月15日にPSEから自主的上場廃止、上記のように、現在は非上場企業となっている。そして、2018年にサンミゲルグループの食品と飲料事業を大統合して発足したサンミゲルフード&ビバレッジ(SMFB、証券コード:FB)の傘下にある。