8月のペソ4.02%続伸、約5カ月ぶりの高値に

8カ月で1.32%下落、前半のドル高や地政学的懸念で

2024/09/02

 フィリピン銀行協会(BAP)のペソ対米ドル為替データによると、2024年8月30日のペソ対米ドルレート終値は1米ドル=56.111ペソで、前月末から2.254ペソ続伸、率にして4.02%のペソ高となり、今年3月21日の56.030ペソ以来、約5カ月ぶりのペソ高水準となった。一方、最もペソ安だったのは1日の1米ドル=58.333ペソであった。

 8月は、米国景気鈍化懸念や9月の利下げ開始観測に伴うドル安の流れ波及、7日発表のフィリピンの7月の失業率が3.1%で過去最低タイであったこと、8日に発表されたフィリピンの第2四半期のGDP成長率が6.3%と市場予想を上回ったことなどを背景に、特に後半に強い動きを見せ、月間ベースで大幅続伸となった。

 しかし、2024年年初8カ月では1.32%のペソ安となった。8カ月間での終値ベースで最もペソ高となったのは3月12日の1米ドル=55.310ペソ、最もペソ安となったのは6月26日の1米ドル=58.860ペソだった。8カ月間でも、米国の金融政策や見通しに左右される展開となった。上半期までの米国金融引き締め継続観測に伴うドル高、南シナ海での中国との対立激化、国内での現・前大統領の対立激化に伴う政治的混乱懸念、輸出停滞に伴う高水準の貿易赤字などがペソを下落させたようだ。

 ペソ対米ドルレートの動き(年末値/月末値)
時期 年末・月末値 上昇率
2017年 49.930ペソ -0.42%
2018年 52.580ペソ -5.04%
2019年 50.635ペソ 3.84%
2020年 48.023ペソ 5.44%
2021年 50.999ペソ -5.84%
2022年 55.755ペソ -8.53%
2023年 55.370ペソ 0.70%
2024年 1月末 56.275ペソ -1.61%
2月末 56.200ペソ 0.13%
3月末 56.240ペソ -0.07%
4月末 57.760ペソ -2.63%
5月末 58.510ペソ -1.28%
6月末 58.610ペソ -0.17%
7月末 58.365ペソ 0.42%
8月末 56.111ペソ 4.02%
8カ月間 - -1.32%
(出所:フィリピン銀行協会資料より作成)