8月の株価4.2%続伸、利下げや堅調な景気背景に
8カ月間では6.9%上昇、不透明要因も多く上値重い展開
2024/09/03
フィリピンの代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)の2024年8月最終取引日(30日)の終値は6,897.54ポイントとなり、前月末から4.21%続伸した。月間ベースでは2カ月連続の上昇となった。8月の終値ベースでの最高値は27日の6,973.41ポイント、約5カ月ぶりの高値となった。最安値は6日の6,433.24ポイントだった。
8月は、フィリピンのインフレ緩和観測に伴う今後の金融緩和期待、実際8月15日に0.25%の利下げが決定されたこと、米国でも9月に利下げが開始されるとの観測、7日発表のフィリピンの7月の失業率が3.1%で過去最低タイであったこと、8日に発表されたフィリピンの第2四半期のGDP成長率が6.3%と市場予想を上回ったことなどを背景に、特に後半に強い動きを見せた。
2024年8カ月間ではPSEiは6.94%上昇した。上半期は、日米など主要市場が一時最高値を更新するなど強い動きを続けるなかで、相対的に非常に弱い展開が続き、6カ月間では0.6%の下落であったが、7月と8月の連続上昇により、8カ月間ではプラスに転じた。
しかし、中国との対立激化、国内では現・前大統領の対立激化など地政学的懸念、固有の新規買い材料不足などにより本格回復には至らず、いまだに新型コロナ禍前の水準に戻りきらない上値の重い展開が続いている。7,000ポイントの大台を一時的に回復する場面があっても終値で維持できない状況が続いている。
8カ月間の大分類セクター別指数は、サービス産業株(+35.90%)、金融株(+21.38%)、工業株(+2.99%)が上昇した一方、鉱業・石油株(-17.74%)、持株会社株(-7.21%)、不動産株(-1.15%)は下落した。サービス産業株は主力の通信企業のモバイルマネー事業への期待から続伸。一方、金利敏感の代表格である不動産株は長らく下落基調が続いてきた。ただし、8月は利下げの動きや出遅れ感などにより反発した。
2024年年初8カ月の1日当たり平均売買額は前年同期比5%減の62億ペソ。外国人投資家の売り越し額は172億ペソだった。8カ月間の外国人投資家の買い越し日は90営業日だった(1月は17日、2月は20日、3月は12日、4月は5日、5月は4日、6月は5日、7月は13日、8月は14日)。
2024年8月末のPSE時価総額は16%増の18兆7,894億ペソ、そのうち国内企業時価総額は12%増の14兆4,690億ペソであった。なお、PSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は13.10倍で、前年同月末の13.67倍から低下した。
8月末時点のPSE上場企業数は284社で、2023年末の283社から1社の純増にとどまっている。IPO(新規公募)・新規上場が3社であった一方、セブ ホールディングスとカジノ・娯楽関連企業であるプレミアム レジャー コーポレーションが上場廃止となったことによる。上場284社の業種別内訳は金融30社、工業74社、持株会社34社、不動産47社、サービス64社、鉱業・石油(資源開発)23社、中小企業(SME)ボード企業11社。
PSE指数の推移(指数は年末値/月末価、上昇率は年間/月間)
(出所:PSE資料より作成)
PSEセクター別株価指数上昇率
(出所:PSE資料より作成)
市場動向の推移(年末・年間値)
(出所:PSE資料より作成)
8月は、フィリピンのインフレ緩和観測に伴う今後の金融緩和期待、実際8月15日に0.25%の利下げが決定されたこと、米国でも9月に利下げが開始されるとの観測、7日発表のフィリピンの7月の失業率が3.1%で過去最低タイであったこと、8日に発表されたフィリピンの第2四半期のGDP成長率が6.3%と市場予想を上回ったことなどを背景に、特に後半に強い動きを見せた。
2024年8カ月間ではPSEiは6.94%上昇した。上半期は、日米など主要市場が一時最高値を更新するなど強い動きを続けるなかで、相対的に非常に弱い展開が続き、6カ月間では0.6%の下落であったが、7月と8月の連続上昇により、8カ月間ではプラスに転じた。
しかし、中国との対立激化、国内では現・前大統領の対立激化など地政学的懸念、固有の新規買い材料不足などにより本格回復には至らず、いまだに新型コロナ禍前の水準に戻りきらない上値の重い展開が続いている。7,000ポイントの大台を一時的に回復する場面があっても終値で維持できない状況が続いている。
8カ月間の大分類セクター別指数は、サービス産業株(+35.90%)、金融株(+21.38%)、工業株(+2.99%)が上昇した一方、鉱業・石油株(-17.74%)、持株会社株(-7.21%)、不動産株(-1.15%)は下落した。サービス産業株は主力の通信企業のモバイルマネー事業への期待から続伸。一方、金利敏感の代表格である不動産株は長らく下落基調が続いてきた。ただし、8月は利下げの動きや出遅れ感などにより反発した。
2024年年初8カ月の1日当たり平均売買額は前年同期比5%減の62億ペソ。外国人投資家の売り越し額は172億ペソだった。8カ月間の外国人投資家の買い越し日は90営業日だった(1月は17日、2月は20日、3月は12日、4月は5日、5月は4日、6月は5日、7月は13日、8月は14日)。
2024年8月末のPSE時価総額は16%増の18兆7,894億ペソ、そのうち国内企業時価総額は12%増の14兆4,690億ペソであった。なお、PSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は13.10倍で、前年同月末の13.67倍から低下した。
8月末時点のPSE上場企業数は284社で、2023年末の283社から1社の純増にとどまっている。IPO(新規公募)・新規上場が3社であった一方、セブ ホールディングスとカジノ・娯楽関連企業であるプレミアム レジャー コーポレーションが上場廃止となったことによる。上場284社の業種別内訳は金融30社、工業74社、持株会社34社、不動産47社、サービス64社、鉱業・石油(資源開発)23社、中小企業(SME)ボード企業11社。
PSE指数の推移(指数は年末値/月末価、上昇率は年間/月間)
時期 | 年末・月末値 | 上昇率 |
2012年 | 5,812.73ポイント | 32.95% |
2013年 | 5,889.83ポイント | 1.33% |
2014年 | 7,230.57ポイント | 22.76% |
2015年 | 6,952.08ポイント | -3.85% |
2016年 | 6,840.64ポイント | -1.60% |
2017年 | 8,558.42ポイント | 25.11% |
2018年 | 7,466.02ポイント | -12.76% |
2019年 | 7,815.26ポイント | 4.68% |
2020年 | 7,139.71ポイント | -8.64% |
2021年 | 7,122.63ポイント | -0.24% |
2022年 | 6,566.39ポイント | -7.81% |
2023年 | 6,450.04ポイント | -1.77% |
2024年 1月 | 6,646.44ポイント | 3.04% |
2月 | 6,944.71ポイント | 4.49% |
3月 | 6,903.53ポイント | -0.59% |
4月 | 6,700.49ポイント | -2.94% |
5月 | 6,433.10ポイント | -3.99% |
6月 | 6,411.91ポイント | -0.33% |
7月 | 6,619.09ポイント | 3.23% |
8月 | 6,897.54ポイント | 4.21% |
8カ月間 | - | 6.94% |
PSEセクター別株価指数上昇率
項目 | 20年 | 21年 | 22年 | 23年 | 24年8カ月間 | 24年8月末指数 |
PSE指数 | -8.64% | -0.24% | -7.81% | -1.77% | 6.94% | 6,897.54 |
全株指数 | -8.11% | -10.64% | -9.33% | -1.08% | 9.29% | 3,742.81 |
金融株指数 | -22.32% | 10.95% | 2.42% | 5.71% | 21.38% | 2,110.63 |
工業株指数 | -2.51% | 10.76% | -10.12% | -2.94% | 2.99% | 9,347.38 |
持株会社株指数 | -3.13% | -7.44% | -5.49% | -5.09% | -7.21% | 5,666.02 |
不動産株指数 | -11.80% | -12.14% | -9.04% | -2.52% | -1.15% | 2,822.22 |
サービス業株指数 | -1.11% | 31.19% | -17.73% | -1.79% | 35.90% | 2,181.23 |
鉱業・石油株指数 | 17.75% | 0.77% | 12.57% | -7.48% | -17.74% | 8,226.84 |
市場動向の推移(年末・年間値)
項目 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年8月末 |
PSE指数 | 7,139.71 | 7,122.63 | 6,566.39 | 6,450.04 | 6,897.54 |
年・月末時価総額(億ペソ) | 158,889 | 180,811 | 165,585 | 167,402 | 187,894 |
国内企業時価総額(億ペソ) | 130,994 | 145,637 | 132,818 | 130,968 | 144,690 |
外国企業時価総額(億ペソ) | 27,895 | 35,174 | 32,767 | 36,434 | 43,204 |
1日平均売買額(億ペソ) | 73 | 90 | 73 | 61 | 61 |
外国人の売買額シェア | 45% | 36% | 41% | 44% | 46% |
外国人買越額(億ペソ) | -1,287 | -23 | -679 | -537 | -172 |
PER(株価収益率) | 24.88倍 | 22.84倍 | 14.51倍 | 13.23倍 | 13.10倍 |