7月の失業率4.7%で12カ月ぶりの高水準、季節要因で急上昇

失業者前月比47%増加、卒業シーズンで新卒者が失業数に影響

2024/09/09

 フィリピン統計庁(PSA)は9月6日、2024年7月の労働力調査結果を発表した。それによると、7月の失業率は4.7%(速報値)に達し、前年7月の4.9%以来12カ月ぶりの高水準になった。また、過去最低であった前月3.1%からは1.6%ポイント急上昇した。

 2024年7月の15歳以上の人口は7,889万人、労働力人口は5,007万人。労働参加率は63.5%で、前年同月(60.0%)より上昇したが、前月(66.0%)からは低下した。

 失業者数は前年同月比3.8%増、前月比46.7%増(75万5千人増)の238万人。卒業シーズンでかなりの新卒者が一時的に失業者としてカウントされるという季節要因が響いた。失業者を年齢層でみると、15歳-24歳が全体の43.0%、25歳-34歳が31.7%と合計で全体の74.7%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は28.8%(卒業者は21.8%)、大学進学・卒業者が44.6%(卒業者は33.9%)だった。性別では、男性54.9%、女性45.1%と男性が上回っている。地域別で失業率が最も高かったのはマニラ首都圏(NCR)の6.5%、最も低くかったのはコルディリェラ行政地域(CAR)の2.3%だった。

 就業者数は前年同月比7.1%増、前月比5.1%減の4,770万人。業種別では、農業部門が21.2%(前年同月20.6%)、鉱工業部門が18.0%(同19.3%)、サービス部門が60.8%(同60.2%)だった。サブセクターで、年間増加数の多かった上位5業種は、卸小売業・自動車・オートバイ修理業、農林業、宿泊・飲食サービス業、行政・防衛(社会事業)、建設業。一方、最も減少した上位5業種は、製造業、専門・科学・技術系サービス業、情報技術(IT)産業、鉱山・採石業、健康・社会福祉事業。

 賃金・給与労働者が就業者全体の63.8%を占めた。その中で、民間企業労働者が依然最も高い割合を占め、賃金・給与労働者全体の78.3%、就業者全体の49.9%を占めている。政府系企業社員・公務員が就業者全体の9.1%、自営・事業主は全体の30.6%を占めた。週平均労働時間は41.1時間(前年同月42.4時間)。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の68.6%(同72.0%)だった。

 一方、不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者を含む)の数は前年同月比18.3%減の578万人。不完全就業率は12.1%(前月12.1%、前年同月15.9%)に上昇した。なお、不完全就労者全体の53.6%が労働時間週40時間以下だった。

 フィリピン労働力調査(LFS)
項目 23年7月 24年6月 24年7月
15歳以上人口(単位:千人) 78,030 78,639 78,894
労働力参加率(%) 60.0 66.0 63.5
失業率(%) 4.9 3.1 4.7
不完全就業率(%) 15.9 12.1 12.1
週平均労働時間(h) 42.4 40.9 41.1
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、2023年7月以外は速報値)

 
フィリピンの失業率等の比較(単位:%)
全国 労働参加率 失業率 不完全就業率
2023年 7月 60.0 4.9 15.9
8月 64.7 4.4 11.7
9月 64.1 4.5 10.7
10月 63.9 4.2 11.7
11月 65.9 3.6 11.7
12月 66.6 3.1 11.9
2024年 1月 61.1 4.5 13.9
2月 64.8 3.5 12.4
3月 65.3 3.9 11.0
4月 64.1 4.0 14.6
5月 64.8 4.1 9.9
6月 66.0 3.1 12.1
7月 63.5 4.7 12.1
1-7月 64.2 4.0 12.3
(出所:PSA資料より作成、23年7月以外全て速報値)