サンミゲル連合、14日にマニラ空港運営・管理を正式引継ぎ

世界クラスの空港へ、スカイウエイやマニラ地下鉄との接続も計画

2024/09/15

 サンミゲル(証券コード:SMC)が主導する「ニューNAIAインフラストラクチャー社(NNIC)」が、9月14日、フィリピンの主要空港であるニノイ・アキノ国際空港(NAIA)の運営と管理を正式に引き継ぎ、76年の歴史を有するNAIAの近代化に取り組むこととなった。旅客体験と空港の収容能力を向上させるための近代化作業を開始する。

 NNICはサンミゲル(SMC)グループのほか、インフラプロジェクトに関わる物流会社のRMMアジアン ロジスティクス社、航空開発を専門とするフィリピン企業のRLWエイビエーション デベロップメント社、韓国の主要国際空港を運営する仁川国際空港公社で構成されるSMC連合である。

 今年3月18日、フィリピン運輸省(DOTr)とSMC連合は、「ニノイ・アキノ国際空港(NAIA)の修復、拡張、運営、最適化、維持に関する事業(NAIA官民パートナーシップ事業、事業費1,706億ペソ)協定に署名した。すなわち、SMC連合がこの事業を正式に受注した。

 このNAIA官民パートナーシップ事業において、SMC連合は旅客サービス料を除いた将来(オプション期間を含む25年間)の総収入の82.16%を政府に分配とされている。サンミゲルによると、この25年間の総収入の82.16%は8,311億ペソと試算される。これに300億ペソの固定前払い費と20億ペソの年間支払い料を加えると9,111億ペソとなる。更に推定設備投資額1,235億ペソを足すと1兆346億ペソに達する。すなわち、サンミゲル連合側の総支出額は1兆ペソを超えるとのことである。DOTrは、25年間の運営権授与によって、SMC連合から9,000億ペソ規模の収入が見込め、他のインフラ整備資金に充当することができるとのことである。
 
 NAIAの近代化計画は、ターミナルの再配置や拡張、関連インフラのアップグレード、新しい駐車施設の設置、周辺道路の改善などを含み、今後数カ月から数年にわたって段階的かつ戦略的に実施される予定である。サンミゲル連合は移行がスムーズに進み、空港の運営に対する混乱はないとしている。予想される変更点は以下の通り。

・3~6カ月以内::エスカレーター、トイレ、空調の改善、安定した電力や水の安定供給、改善された空調、アップグレードされた旅客や荷物の処理迅速化、座席増設、WiFi強化など。
・3年以内: 滑走路の改善、ターミナルの容量増加、商業スペースの改善、より良い交通フロー、NAIAターミナル3とスカイウェイの直接連結など。
・長期的:年間3,500万人の追加旅客を収容できる新ターミナルビルの建設、周辺地域の洪水対策、マニラ地下鉄への接続など。

 サンミゲルやNNICの社長であるラモン・アン氏は、今後の課題を認識しつつも、コンソーシアムの能力に自信を示し、「政府、航空会社、乗客、空港スタッフの継続的な支援と協力があれば、すべての目標を達成し、NAIAをすべてのフィリピン人が誇れる空港に変えることができる」と強調した。