世界の年金番付(48カ国・地域)、フィリピン46位に低迷

健全性で連続最下位、総合1位オランダ、最下位インド、日本36位

2024/10/22

 国際的な年金・退職制度関連コンサルティング企業である米国マーサーは、10月21日、年金制度ランキング「マーサーCFA協会グローバル年金指数(グローバル年金指数、旧名称:メルボルン・マーサー・グローバル年金指数)ランキング」の2024年度版(16回目)を発表した。

 グローバル年金指数は、世界各国の年金制度のベンチマークとして、各制度の弱点を浮き彫りにし、より充実した、持続可能な年金給付を提供するために改革すべき領域を示している。グローバル年金指数は、投資プロフェッショナルの世界的団体であるCFA協会がスポンサーを務め、モナッシュ金融研究センター(MCFS)とプロフェッショナルサービスを提供するマーサーが共同で実施する研究プロジェクトである。

 各国の制度の総合指数は、「十分性」、「持続性」、「健全性」に大別される50以上の項目から構成され、この3つのサブ指数を加重平均して算出している(満点は100点)。2024年度版は、世界の人口のほぼ3分の2を網羅する48カ国・地域(前年は47カ国・地域)の年金制度を比較検証している。2024年度は、新たにベトナムが加わった。
 
 2024年度において、年金制度総合トップとなったのはオランダ(84.8点)。以下、2位アイスランド(83.4点)、3位デンマーク(81.6点)、4位イスラエル(80.2点)、5位シンガポール(78.7点)と続く。Aランク(80点以上)は4カ国であった。アジアで最も高かったのはシンガポールの5位(78.7点)であった。今年新たに加わったベトナムは38位(54.5点)で、アジアの中で6位と注目に値する。日本は36位(54.9点)、中国が31位(56.5点)、韓国が41位(52.2点)であった。

 総合で最下位の48位はインド(44.0点)、46位がフィリピン(45.8点)、47位がアルゼンチン(45.5点)で、これらがワースト3を形成している。45位はトルコ(48.3点)、44位は南アフリカ(49.6点)。この5カ国が最も低いグループのDランク(50点未満)とされている。タイは50.0点で43位、前年から順位を上げ、Cランクの最後に入っている。

 フィリピンは2019年度から調査対象に加えられた。その2019年度は43.7点で34位(37カ国・地域対象)、2020年度は43点で36位(39カ国・地域対象)、2021年度は42.7点で41位(43カ国・地域対象)、2022年度は42点で43位(44カ国・地域対象)、そして、2023年度が45.2点で46位(47カ国・地域対象)、2024年度が45.8点で46位(48カ国・地域対象)と前年から順位は変わらないが、年金指数のスコアが0.6ポイント改善した。

 2024年度の各サブ指数における最低数値は、十分性ではインド(34.2点)、持続性ではオーストリア(22.0点)、健全性ではフィリピン(27.7点)であった。フィリピンは、健全性で6年連続で最下位、十分性でも41.7点で、インドネシア(38.1点)、韓国(40.5点)に続く低さであった。ただ、持続性では63.4点で比較的高い評価であった。