サンミゲルビール、9カ月間の売上3%増の1,112億ペソ

国内販売1.5億ケース、シェア90%超、純利益185億ペソ

2024/11/22

 フィリピンを代表するコングロマリットであるサンミゲル(証券コード:SMC)グループでビール事業を担当するサンミゲル ブリュワリー(サンミゲル ビール=SMB、現在は非上場企業)の2024年9カ月間(1月~9月)の業績詳細が、SMCの事業報告書等によって明らかになった。なお、SMBにはキリン ホールディングス(キリン)が約48%出資している。

 SMBの今9カ月間の売上高は前年同期比(以下同様)3%増の1,112億ペソ。そのうち、国内売上高は3%増の991億ペソであった。上半期の国内販売数量は高インフレによる個人消費の伸び悩みで小幅減少したが、第3四半期に4%増と回復した。その結果、9カ月間では1%増の1億5,270万ケースに達した。価格調整効果もあって3%増収。一方、海外販売数量は2,080万ケース、海外売上高は微減の2億1,200万米ドルであった。

 2024年1月からの発酵酒類物品税の引き上げ(1リットル当たり2ペソ)などにより売上原価は4%増の710億ペソ。販売費及び一般管理費が168億ペソへと7%増加したこともあって、営業利益は3%減の234億ペソ、純利益は5%減の185億ペソと各々小幅減益。ただし、絶好調であった前年同期(純利益20%増)との比較であり、利益額は依然高水準といえる。

 なお、SMBは、2008年にサンミゲルの国内ビール事業スピンオフで発足したが、2010年初にはサンミゲルの海外ビール事業も取得している。国内シェアは90%以上と圧倒的な強さを誇っている。起源は1890年に東南アジア初のビール醸造企業として設立されたサンミゲルであり、1914年には上海、香港、グアムなどにビール輸出を開始した。そして、1948年には香港初のビール工場を設立するに至った。すなわち、134年の歴史を有する老舗企業といえる。

 キリンは、サンミゲル本体(SMC)への出資というかたちでフィリピンに進出した。その当時はSMC社自身が国内ビール事業を行っていた。しかし、その後、国内ビール事業部門はSMBとして分社化、SMBは2008年5月12日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場された。したがって、キリンは2009年前半に保有していたSMC株式19.91%を売却、SMB株式48.39%を取得したという経緯がある。

 SMBはその後、PSEの浮動株式比率基準(最低10%)未達成で、2013年5月15日にPSEから自主的上場廃止、上記のように、現在は非上場企業となっている。そして、2018年にサンミゲルグループの食品と飲料事業を大統合して発足したサンミゲルフード&ビバレッジ(SMFB、証券コード:FB)の傘下にある。