リコー、比の非電化地域でのデジタル化実証検証へ

3Dプリンターによる小水力発電システムで電力供給

2024/11/24

 リコー(本社:東京都大田区)は、11月19日、「国際協力機構(JICA)の2020年度第二回公募で採択されたフィリピンの非電化地域で働く現場のデジタル化を目指した案件化調査を完了し、株式会社PFUと共同し、現地での実証検証フェーズに移行した」と発表した。

 この案件化調査では、フィリピンの非電化・電力不十分地域において、3Dプリンターを使った独自形状の羽を用いた小水力発電(3Dピコ水力発電)システムで電力を供給し、農業・教育に従事する人々に対してデジタルを活用した働き方を推進するパッケージをワンストップで提供する事業の可能性について調査した。新規事業の創出に向けたリコーのアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス)」で活動する社内チーム「WEeeT-CAM(ウィットカム)」が2020年にJICAに提案、採択され、2024年に完了報告したものである。

 この調査の結果、現地フィリピンでの農協や教育施設の実施検証先が複数決定した。特にPFUと連携して取り組む同社のスキャナーを活用した実証検証では、ルーティンで人の手が多くかかる部分をデジタル化し、生まれた時間でより創造的な仕事に注力していく新興国での地域全体のDXを促進するWin-Winのビジネスモデル構築の可能性を見出した。今後、現地特有の課題発見や地域ごとの差を学びながら3Dピコ水力発電の設置とのパッケージ提供を「LIFEPARTS(ライフパーツ)」サービスとして検証していく。

 フィリピンにおける農業と教育の現場では、人口増加にもかかわらず、中間層の存在が稀薄で、生産性向上と収益拡大が課題となっている。リコーは、デジタルサービスを通じて現地の人々の“はたらく歓び”を最大化するための新たなイノベーションを促進し、事業を通じたSDGs達成に貢献して行く方針である。

 リコーは、3Dピコ水力発電システムを設置することで安定的に電力を供給することに加え、インターネットなどのインフラ機材や業務を効率化するソリューションなどをトータルでパッケージ化して提供・保守することで、現場の働き方をデジタルの力で変革することを目指す。また、教育現場においては、プロジェクターや母語を用いたデジタル教材を提供することで、子どもの学習意欲向上を支援する。