S&Pのフィリピン格付、Aランクへの昇格の可能性

26日にBBB+据え置きも見通しをポジティブに引き上げ

2024/11/27

 世界三大格付機関の一つであるスタンダード&プアーズ グローバルレーティングス(S&P)は、11月26日、フィリピンの長期ソブリン格付を「トリプルBプラス(BBB+)」に据え置くが、格付アウトルック(格付見通し)をこれまでの「ステーブル(安定的)」から「ポジティブ(強気)」へと引き上げると発表した。

 「トリプルBプラス」という格付は投資適格最低基準の2段階上であり、Aランクまであと一歩というステータスである。そして、格付アウトルックの「ポジティブ」は今後12カ月~24カ月に格付引き上げの可能性があるという意味である。「トリプルBプラス」の一つ上は「Aマイナス(A-)」であり、フィリピン政府待望のA範疇への昇格が視野に入ってきたといえる。

 S&Pは、今回の格付アウトルック引き上げについて、「フィリピンにおける効果的な政策決定が信用指標に構造的な改善をもたらした。財政改革により歳入対GDP比率が改善、公共投資資金調達が進展した。インフラの改善と政策環境の向上が継続的な経済成長に寄与している。また、外貨準備高も高水準である」と説明している。

 S&Pは、フィリピン格付を2014年5月に「BBB」へ、2018年4月に「BBB+」へと引き上げており、世界3大格付機関のなかでは、最も高い評価となっている。S&Pと同じ米国系のムーディーズ インベスターズ サービス(ムーディーズ)のフィリピン格付は、2014年12月から「Baa2」が継続されている。「Baa2」は他の格付機関の「BBB」と同格である。また、欧州系のフィッチ・レーティングス(フィッチ)は「BBB」を継続している。双方ともに、S&Pの「BBB+」より1ランク低い格付となってきている。

 なお、日本格付研究所(JCR)と格付投資情報センター(R&I)のフィリピン格付はともに、「Aマイナス(A-)」であり、すでにA範疇である。そして、欧米の格付機関より高い評価となっている。