10月の財政収支、63億ペソの黒字に転換

10カ月間の赤字は5%減の9,639億ペソに

2024/11/28

 フィリピン財務局は11月27日、政府の10月の財政収支が63億ペソの黒字となり、前年同月の344億ペソの赤字から黒字転換したと発表した。10月の黒字化は、歳入徴収が歳出(公共支出)額の増加を大幅に上回ったことによる。

 10月の歳入は前年同月比22.6%増の4,731億ペソ。税収のうち、内国歳入庁(BIR)の収入は18.6%増の3,255億ペソ、関税局(BOC)は11.5%増の869億ペソだった。非税収のうち、財務局(BTr)の収入は13.5%減の145億ペソ、民営化の収益や手数料などその他収入は206.7%増(約2.1倍)の437億ペソだった。一方、10月の歳出は11.1%増の4,668億ペソ。そのうち、利払い額は6.1%減の554億ペソ。歳出全体の11.9%を占めた。

【2024年年初10カ月】
 2024年年初10カ月の累計では、歳入は前年同期比16.8%増の3兆7,660億ペソ。そのうち、BIRは13.5%増の2兆4,202億ペソ、BOCは5.3%増の7,776億ペソ、その他税収は12.1%増の290億ペソ。非税収のBTrは28.6%増の2,247億ペソ、その他収入は106.7%増の3,146億ペソだった。一方、歳出は11.5%増の4兆7,299億ペソで、そのうち利払い額は23.0%増の6,387億ペソ、歳出全体の13.5%を占めた。

 これにより、年初から10カ月間の財政累計赤字は前年同期比5.3%減の9,639億ペソと縮小し、政府の年間収支計画の赤字上限(1兆4,800億ペソ)の64.9%にとどまった。

 歳出から歳入と利払い費を除外して算出されるプライマリーバランス(基礎収支)に関しては、10月は617億ペソの黒字となり、前年同月の246億ペソの黒字から151.1%拡大。その結果、10カ月間では3,252億ペソの赤字にとどまり、前年同期の4,988億ペソの赤字から34.8%縮小した。

 財政収支動向 (単位:億ペソ、%)
期間 10月 1月-10月
23年 24年 伸び率 23年 24年 伸び率
歳入 3,858 4,731 22.63% 32,236 37,660 16.83%
 税収 3,548 4,149 16.94% 28,966 32,267 11.40%
   内国歳入庁 2,744 3,255 18.62% 21,325 24,202 13.49%
   関税局 779 869 11.50% 7,383 7,776 5.32%
   その他 24 24 1.58% 258 290 12.09%
 非税収 310 583 87.65% 3,270 5,394 64.93%
   財務局 168 145 -13.50% 1,748 2,247 28.56%
   その他 143 437 206.72% 1,522 3,146 106.70%
歳出 4,202 4,668 11.08% 42,415 47,299 11.52%
  利払い 590 554 -6.09% 5,191 6,387 23.03%
   その他 3,612 4,114 13.89% 37,224 40,912 9.91%
 
財政収支 -344 63 黒字転換 -10,179 -9,639 赤字5%減
プライマリーバランス 246 617 151.12% -4,988 -3,252 赤字35%減
(出所:フィリピン財務局資料より作成)

 
過去のフィリピン財政赤字と対GDP比率推移  (単位:億ペソ)
項目 年間実績推移
16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年
財政赤字 3,534 3,506 5,583 6,602 13,714 16,701 16,141 15,121
対GDP比 2.3% 2.1% 3.1% 3.4% 7.6% 8.6% 7.3% 6.2%
(出所:フィリピン財務局資料より作成)