11月のペソ0.9%続落、一時過去最安値59ペソに並ぶ

11カ月間で5.8%下落、60ペソ台への下落の可能性も

2024/12/02

 フィリピン銀行協会(BAP)のペソ対米ドル為替データによると、2024年11月29日のペソ対米ドルレート終値は1米ドル=58.620ペソで、前月末から0.520ペソ続落、率にして0.89%のペソ安となった。

 11月、終値ベースで最もペソ高だったのは8日の1米ドル=58.260ペソ。一方、最もペソ安だったのは21日、26日の1米ドル=59.000ペソで、終値ベースでは、2022年10月3日、10日、13日、17日に記録した過去最安値に並んだ。米国のトランプ次期大統領政策への懸念や利下げピッチ鈍化観測、フィリピンでの正副大統領対立激化、フィリピンの10月の国際総合収支赤字転落、南シナ海、ウクライナ、中東、朝鮮半島情勢懸念などを背景にペソは軟調に推移した。ただ、月末にかけては、中央銀行が市場介入を行ったようで若干反発した。
 
 それらの結果、2024年年初11カ月では5.54%のペソ安となった。11カ月間での終値ベースで最もペソ高となったのは3月12日に記録した1米ドル=55.310ペソだった。11カ月間でも、米国の金融政策や見通しに大きく左右される展開となった。また、南シナ海での中国との対立激化、国内での現・前大統領の対立激化に伴う政治的混乱懸念、輸出停滞に伴う高水準の貿易赤字などがペソを下落させた。

 なお、フィリピン中央銀行(BSP)のエリ・レモロナ総裁は、先週、ペソの1ドル=60ペソという新たな史上最安値に下落する可能性に関して質問を受けた際、「米国トランプ次期大統領の関税政策警戒などでドルが上昇した。このような状況下で、ペソの60ペソ台への下落の可能性は否定できない。しかし、通貨当局はそのような急激な下落が起こらないように監視する」とコメントした。

 ペソ対米ドルレートの動き(年末値/月末値)
時期 年末・月末値 上昇率
2017年 49.930ペソ -0.42%
2018年 52.580ペソ -5.04%
2019年 50.635ペソ 3.84%
2020年 48.023ペソ 5.44%
2021年 50.999ペソ -5.84%
2022年 55.755ペソ -8.53%
2023年 55.370ペソ 0.70%
2024年 1月末 56.275ペソ -1.61%
2月末 56.200ペソ 0.13%
3月末 56.240ペソ -0.07%
4月末 57.760ペソ -2.63%
5月末 58.510ペソ -1.28%
6月末 58.610ペソ -0.17%
7月末 58.365ペソ 0.42%
8月末 56.111ペソ 4.02%
9月末 56.030ペソ 0.14%
10月末 58.100ペソ -3.56%
11月末 58.620ペソ -0.89%
11カ月間 - -5.54%
(出所:フィリピン銀行協会資料より作成)