GDP成長率目標、25年~28年は実質6.0%に下方修正

前提:インフレ2~4%、原油60~80ドル、1ドル55~58ペソ等

2024/12/03

 開発予算調整委員会(DBCC)は、12月2日、第189回会合を開催、最近の内外情勢を分析するとともに、政府の2028年までの中期マクロ経済に関する前提や財政計画、成長率目標の見直しを行った。

 DBCCは政府の経済関係部署の横断機関であり、マクロ経済目標決定などの役割を担っている。具体的な構成機関は予算管理省(DBM)、財務省(DOF)、国家経済開発庁(NEDA)、中央銀行(BSP)、大統領室(OP)である。

 今回の見直しにおいて、2024年~2028年までの実質(以下同様)GDP成長率目標が変更された。具体的には、2024年が「6.0%~7.0%」から「6.0%~6.5%」、2025年が「6.5%~7.5%」から「6.0%~8.0%」、2026年から2028年までが「6.5%~8.0%」から「6.0%~8.0%」へと変更された。2024年は上限が低くなり、それ以降は下限が6.0%へと引き下げられた。目標達成は最終的には下限へ到達したかによるものであるから、25年から28年までの成長率目標は下方修正されたといえよう。

 成長率目標の前提条件に関しては、平均インフレ率が2024年が「3.1%~3.3%」へと、下限がこれまでの3.0%から引き上げられたが、2025年から2028年までは、これまでの2.0%~4.0%が継続された。ペソ対米ドルレートに関しては、2024年が「1米ドル=57ペソ~57.50ペソ」で、これまでの「56ペソ~58ペソ」へと変更された。2025年は「55ペソ~58ペソ」へと下限が若干ペソ安へと修正されたが、2026年~28年はこれまでの「55ペソ~58ペソ」が継続されている。その他、ドバイ原油価格や輸出入見通しは下表の通りである。

 フィリピンのGDP実質成長率の推移と目標(2018年基準、単位:%)
16 17 18 19 20 21 22 23 24目標 25~28目標
伸び率 7.1 6.9 6.3 6.1 -9.5 5.7 7.6 5.6 6.0~6.5 6.0~8.0
(出所:DBCC資料より作成、目標は2024年12月7日のDBCC設定数値)

 マクロ経済目標・見通しの前提条件(2024年12月2日設定)
経済指標 2024年 2025年  2026年~28年
インフレ率(%) 3.1~3.3 2.0~4.0 2.0~4.0
ドバイ原油価格(米ドル/1バレル) 78~81 60~80 60~80
外国為替レート(ペソ/米ドル) 57~57.50 56~58 55~58
物品輸出増加率(BPM6基準) 4.0% 6.0% 6.0%
物品輸入増加率(BPM6基準) 2.0% 5.0% 8.0%
(出所:DBCC資料より)

 これまでのマクロ経済目標・見通しの前提条件(2024年6月27日設定)
経済指標 2024年 2025年  2026年~28年
インフレ率(%) 3.0~4.0 2.0~4.0 2.0~4.0
ドバイ原油価格(米ドル/1バレル) 70~85 65~85 65~85
外国為替レート(ペソ/米ドル) 56~58 55~58 55~58
物品輸出増加率(BPM6基準) 5.0% 6.0% 6.0%
物品輸入増加率(BPM6基準) 2.0% 5.0% 8.0%
(出所:DBCC資料より)