資金洗浄リスク番付、比は49位(164カ国中)に悪化

最悪ミャンマー、ベトナム15位、タイ39位、日本は104位に

2024/12/05

 フィリピンのマネーロンダリング防止協議会(AMLC)第33回定期会合が、12月4日に開催された。この定期会合において、マルコス大統領は、国際的な資金洗浄を防止するための金融活動作業部会(FATF:本部:パリ)によるグレーリスト指定からの脱却の必要性を強調した。

 このFATFのグレーリスト指定からの解除の重要なカギとなるのが、バーゼル・ガバナンス研究所によるバーゼルマネーロンダリング対策(AML)指数である。バーゼルAML指数は世界各国の法制度や金融・公共部門の透明性、汚職や贈収賄に対する脆弱性、マネーロンダリング対策の取り組みを測定、指数化、ランキングしたものである。スコアは0から10のシステムで、10は最もリスクが高いことを示し、ランキングが高いほどマネーロンダリングリスクが高いことを示す。バーゼル・ガバナンス研究所は腐敗と金融犯罪に対抗するための非営利団体として、2003年にスイスに設立された。

 このほど、バーゼルAML指数2024年版(164カ国対象)が発表された。フィリピンはスコア5.84で世界49位、2023年のスコア5.64、世界53位(152カ国対象)から悪化した。スコアは世界平均の5.30を大幅に上回っている。

 2024年版でマネーロンダリング度最悪(1位)はミャンマーでスコア8.17。次いでハイチ、コンゴ民主共和国、チャド、ベネズエラなどがランクされている。東アジア・太平洋地域(23カ国)では、ミャンマーに続き、ラオス(6位)、中国(11位)、ベトナム(15位)、カンボジア(21位)、ソロモン諸島(35位)、タイ(39位)などが続く。

 リスクが低い国としてはサンマリノ(スコア2.96)、アイスランド(3.00)、フィンランド(3.07)、エストニア(3.16)、アンドラ(3.29)などが挙げられている。日本(4.77)で世界104位、東アジア・太平洋地域では15位とまずまずの評価となっている。

 なおFATFの直近の総会(2024年10月23日~25日)において、フィリピンは、資金洗浄に関する強化モニタリング対象国・地域リスト(グレーリスト)に据え置かれることが決定した。フィリピンは、2021年6月、約16年ぶりに資金洗浄監視対象国リスト入り、それ以降、3年間以上グレーリストに据え置かれている。フィリピン司法省などは今回グレーリストからの除外を期待していたが、結局除外には至らなかった。

 FATFは資金洗浄への高まる懸念に応えて、1989年フランスの首都パリで開催されたG-7サミット(先進7カ国首脳会談)において設立された組織であり、OECD加盟国などで構成される。各国の資金洗浄やテロ資金供与に関する問題点を指摘、監視国・地域指定・公表等を行うと共に、改善策推進を要求してきている。