消費者信頼感指数、第4四半期は悲観度が緩和

マイナス11.1%(前期マイナス15.6%)、特に地方が改善

2024/12/20

 フィリピン中央銀行(BSP)が9月27日発表した2024年第4四半期(10月~12月)消費者信頼感調査結果によると、全国の消費者信頼感指数(CCI)はマイナス11.1%となり、18四半期連続のマイナス。前期のマイナス15.6%からは上向いたが、消費者心理は依然として悲観的である。

 地域別でみると、首都圏がマイナス8.7%(前期マイナス8.2%)と前期から悲観度が高まった一方で、地方はマイナス11.5%(同マイナス16.7%)と悲観度が弱まった。所得者層別では、低所得者層(月間世帯収入1万ペソ未満)はマイナス21.1%(同マイナス25.7%)、中所得者層(同1万~3万ペソ未満)はマイナス10.4%(同マイナス15.0%)、高所得者層(同3万ペソ以上)はマイナス1.5%(前期マイナス4.4%)と全ての層で改善は見られたものの、プラス転換はなかった。

 当期に悲観的な見方が弱まった理由として、回答者は、1)給与・賃金、仕送り等からの収入増加と収入源の拡大、2)働く家族が増えたこと、3)正雇用など就職口の増加などを挙げている。

 当期時点での全国の次期(2025年第1四半期)に対する消費者心理は4.2%と前期時点での次期予想の0.7%から上向いた。また、今後12カ月(2025年第4四半期)に対しても12.4%(前期時点での予想プラス9.9%)と消費者心理は楽観的を維持した。

 当期の全国の消費者信頼感指数(CCI)を指標別で見ると、1)経済情勢はマイナス24.2%(前期マイナス30.7%)、2)家計状況はマイナス9.0%(同マイナス11.2%)、3)家計所得はマイナス0.1%(同マイナス4.7%)と3指標全て依然として悲観的ながら前期より消費者心理は上向きになった。

 高額商品の購入に対し、全国の消費者心理指数はマイナス67.3%と、前期のマイナス68.9%から悲観的見方が減少した。耐久消費財の購入に対しては慎重さが薄れた一方で、自動車および住宅・宅地の購入には依然として消極的だった。

 貯蓄世帯の割合が減少した一方、ローンを組んでいる世帯は前期から横ばいとなった。全国ベースで、当期に貯蓄のある世帯の割合は25.6%と前期の29.0%から低下、全所得層で減少傾向が見られた。貯蓄している世帯の中で、銀行に預けている世帯の割合は81.1%で、前期の75.8%から上昇した。一方、過去12カ月間でローンを利用した世帯の割合は約25.5%と変わらず。

 消費者は、2024年第4四半期、2025年第1四半期および今後12カ月間において、金利上昇、ドル高ペソ安、失業率増加を予想している。また、今後12カ月間のインフレ率が速いペースで上昇するとの懸念を示し、具体的にはインフレ率平均6.2%と予想している。

 2024年第4四半期の消費者期待調査は2024年10月4日~16日に実施された。調査対象は、フィリピン統計庁(PSA)の世帯調査マスターサンプル一覧に基づき選定された全国5,470世帯(首都圏2,817世帯、地方2,593世帯)で、回答率は97.8%(5,350世帯)だった。回答者の所得層別内訳は、1万ペソ(約2万6,000円)未満のグループが全体の22.2%、1万~3万ペソ(約2万6,000~8万円)未満のグループが35.6%、3万ペソ(約8万円)以上のグループが42.2%となっている。

 全国消費者信頼感指数(%)の推移
年/四半期 21年 2022年 2023年 24年
Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4
当該四半期 -24 -15.1 -5.2 -12.9 -14.6 -10.4 -10.5 -9.6 -19.0 -10.9 -20.5 -15.6 -11.1
次の四半期 9.3 6.4 11.2 13.4 9.5 7.5 4.6 7.8 5.6 2.7 -0.4 0.7 4.2
次の12カ月 23.6 30.4 32.4 33.4 21.7 22.7 20.5 18.9 15.0 13.4 13.5 9.9 12.4
(出所:BSP資料より作成)