11月の失業率3.2%、過去最低の3.1%に接近

失業者9.3%減の166万人、不完全就業率10.8%

2025/01/09

 フィリピン統計庁(PSA)は1月8日、2024年11月の労働力調査結果を発表した。それによると、11月の失業率は3.2%(速報値)となり、前年同月(3.6%)および前月(3.9%)から改善した。そして、2023年12月と2024年6月に記録した過去最低記録(PSAが2005年4月に現行の集計基準を採用以来の記録)の3.1%に接近した。なお、年末にかけては、クリスマス商戦での雇用増で失業率が低下しがちである。

 2024年11月の15歳以上の人口は7,929万人、労働力人口は5,120万人。労働参加率は64.6%で、前年同月(65.9%)から低下したが、前月(63.3%)からは上昇した。2024年11月の失業者数は166万人で、前年同月(183万人)から9.3%、前月(197万人)から15.4%と減少した。

 失業者を年齢層でみると、15歳-24歳が全体の36.7%、25歳-34歳が33.4%と合計で全体の70.1%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は33.9%(卒業者は23.6%)、大学進学・卒業者が42.8%(卒業者は32.8%)だった。性別では、男性60.2%、女性39.8%と男性が上回っている。

 就業者数は前年同月比0.2%減の4,954万人。業種別では、農業部門が20.0%(前年同月24.6%)、鉱工業部門が17.9%(同15.9%)、サービス部門が62.1%(同59.6%)だった。サブセクターで、年間の雇用者増加の多かった上位5業種は、製造業、宿泊・飲食サービス業、保健衛生・社会事業、その他サービス業、輸送・倉庫業。一方、最も減少した上位5業種は、農林業、卸小売業・自動車・オートバイ修理業、漁業・養殖業、電気・ガス・蒸気・空調供給サービス業だった。

 賃金・給与労働者が就業者全体の63.8%を占めた。その中で、民間企業労働者が依然最も高い割合を占め、賃金・給与労働者全体の78.7%、また就業者全体の50.2%を占めている。政府系企業社員・公務員が就業者全体の8.7%、自営・事業主は全体の29.6%を占めた。週平均労働時間は41.1時間(前年同月40.2時間)。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の69.6%(同66.4%)だった。

 一方、不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者を含む)の数は前年同月比7.5%減の536万人。不完全就業率は10.8%(前年同月11.7%)に低下した。なお、不完全就労者全体の55.0%が労働時間週40時間以下だった。

 フィリピン労働力調査(LFS)
項目 23年11月 24年10月 24年11月
15歳以上人口(単位:千人) 78,108 79,221 79,288
労働力参加率(%) 65.9 63.3 64.6
失業率(%) 3.6 3.9 3.2
不完全就業率(%) 11.7 12.6 10.8
週平均労働時間(h) 40.2 41.0 41.1
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、2023年11月以外は速報値)

 フィリピンの失業率等の比較(単位:%)
全国 労働参加率 失業率 不完全就業率
2019年 61.3 5.1 13.8
2020年 59.5 10.3 16.2
2021年 63.3 7.8 15.9
2022年 64.7 5.4 14.2
2023年 64.9 4.4 12.3
 
2023年11月 65.9 3.6 11.7
12月 66.6 3.1 11.9
2024年 1月 61.1 4.5 13.9
2月 64.8 3.5 12.4
3月 65.3 3.9 11.0
4月 64.1 4.0 14.6
5月 64.8 4.1 9.9
6月 66.0 3.1 12.1
7月 63.5 4.7 12.1
8月 64.8 4.0 11.2
9月 65.7 3.7 11.9
10月 63.3 3.9 12.6
11月 64.6 3.2 10.8
11カ月平均 64.4 3.9 12.0
(出所:PSA資料より作成、23年11月から全て速報値)