アラムコがフィリピン再進出、ユニオイルに25%出資へ

世界最大の石油会社が再び比市場に、かつてペトロンの大株主

2025/02/21

 フィリピン国内第3位の石油会社であるユニオイル ペトロリアム フィリピン(Unioil Petroleum Philippines, Inc)は、2月19日、世界最大の総合エネルギー・化学企業アラムコと戦略的投資に関する最終合意に達したと発表した。これにより、アラムコはユニオイルの株式25%を取得することとなる。

 ユニオイルのチュア最高経営責任者(CEO)は、「この度のアラムコ社との新たな提携は、ユニオイルの58年の歴史における重要な節目となる。この提携により、当社の成長と発展が加速し、さらなる革新がもたらされるとともに、卸売・小売燃料市場におけるリーダーとしての地位が一層強化されると確信している」と述べた。今回の戦略的投資を通じ、ユニオイルはさらなる競争力の向上を図り、フィリピン市場に高品質の燃料製品を提供するという自社の伝統を継続していく方針である。

 一方、アラムコは、今回のユニオイルへの投資が、小売ネットワークの拡大という同社のグローバル戦略における新たな前進を意味しているとしている。また、フィリピンの燃料市場でダイナミックな展開をみせるユニオイルとの提携を通じ、さらなる価値を創出しながら存在感を高めることを目指している。

 なおアラムコは2008年央まで、フィリピン最大の石油販売企業ペトロン(証券コード:PCOR)の株式40%を保有する主要株主であったが、その40%を2008年に英国系アシュモアに5億5,000万米ドルで売却したという経緯がある。したがって、ユニオイルへの出資が完了すれば、フィリピンに再進出することになる。

 ユニオイルは、1966年にコー・ファミリーによって設立されたフィリピン企業であり、潤滑油の製造と流通から事業を開始した。1998年の石油産業の規制緩和を機に、燃料の取引、流通、小売りに進出し、それ以来、一貫してよりクリーンで先進的な燃料製品の導入を業界でリードしてきた。現在、ユニオイルは、フィリピン国内に165カ所の小売ステーションと四つの貯蔵ターミナルを擁しており、国内の燃料事業の重要な役割を担っている。さらに、今回のサウジ・アラムコとの提携により、アラムコおよびバルボリンのブランドを展開していく予定である。