前大統領、マルコス大統領が国家の金を盗み売却と口撃

中央銀行(BSP)、外貨準備は厳正に保有・管理と反論

2025/02/25

 フィリピン中央銀行(BSP)は、2月24日、「金を含む総外貨準備(GIR)資産は、ペソの国際的な安定性と転換性を維持し、中央銀行に対する外国通貨の将来的な純需要に応えるために、中央銀行単独で厳格・適正に保有・管理されている。国の為替需要を満たす以外の目的には使用されない」と表明した。

 この声明は、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領が、「マルコス大統領の一族がGIRの金を盗み売却した」と口撃したことを受けて表明されたものである

 BSPは「国の外部勘定の管理などの機能を担うBSPは、長年にわたりその主要な業務の一環として金の売買を行ってきた。金を売却した際の収益はGIRに戻り、そこで維持される。他の中央銀行と同様、BSPはGIRの一部を、他の資産の市場価格変動に対するヘッジや相殺措置として金で保有している。この目的のために、適切な水準(多すぎず少なすぎず)を維持するよう金を買いまたは売り、基本的なポートフォリオ管理の原則に従っている」と説明した。

 さらにBSPは「金価格は他の資産と逆の方向に動く傾向がある。そのため、中央銀行は準備資産内の他の資産の価格変動に対するヘッジとして一部の金を保有している。しかし、金価格は変動が激しく、利子がほとんど得られず、保管費用もかかるため、中央銀行は過剰な保有を避けたいと考えている」と述べた。下表のとおり、2024年末のGIRに占める金の比率は10.4%、2025年1月末は11.4%である。

 フィリピンの総外貨準備高と金の比率推移(単位:百万米ドル)
項目 年末値 1月末  伸び率
年・月 21年 22年 23年 24年 24年 25年 前月比 前年同月比
総外貨準備高(GIR) 108,794 96,149 103,753 106,256 103,270 103,271 -2.8% 0.0%
金のシェア(%) 8.6 9.7 10.2 10.4 10.1 11.4 -
(出所:BSP資料より作成)