通信大手2社、24年はともに実質増益に

PLDTが収益首位、携帯加入者数はグローブ

2025/02/28

 長らくフィリピンの通信市場をほぼ独占してきたPLDT(証券コード:TEL)とグローブテレコム(グローブ、証券コード:GLO)の2024年(1月~12月)の決算発表が出揃った。2社ともに小幅増収であるが、データ関連事業は順調に拡大しているほか、電子決済事業が成長軌道に乗っている。

 最大手のPLDTの2024年の総収入は前年比(以下同様)3%増の2,168億ペソ。報告帰属純利益は21%増の323億ペソとなった。資産売却益、資産評価損益など一時的損益等を除いた通信事業のコア利益は2%増の351億ペソ。総費用は2%減の1,663億ペソ。これらの結果、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は4%増の1,085億ペソ、EBITDA利益率は52%と前年から変わらず。2024年の設備投資額は8%減の782億ペソ。

 一方、グローブの総収入は2%増の1,650億ペソ、報告帰属純利益は1%減の243億ペソとなった。資産売却益、資産評価損益など一時的損益等を除いたコア純利益は14%増の215億ペソとなり、実質14%の増益だった。経費・費用は3%減の782億ペソ。それらの結果、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は7%増の868億ペソ、EBITDA利益率は52.6%で前年の50.2%を上回った。2024年の設備投資額は20%減の562億ペソであった。

 上記のように、PLDTが増益、グローブが小幅ながら減益と明暗を分けたかたちとなっているが、グローブは一時的損益を除いたコア純利益では14%の増益となっている。

 2024年12月31日時点で、PLDTの携帯電話部門Smart(スマート)/TNT携帯電話加入総数は(SIMカードベース)は前年末比2%増の5,900万人と増加した。ブロードバンド加入者数(固定・無線)は5%増の388万人だった。携帯通信部門Smartの5G/4Gネットワークは人口の約97%をカバーしている。加入者1人当たりの平均収入(ARPU)はポストペイドで1%減の684ペソ(第4四半期時点)、Smartプリペイドでは122ペソ(同129ペソ), TNTは105ペソ(同109ペソ)。固定電話加入者数は1%減の371万人。
 
 これに対し、グローブは、2024年末の携帯電話加入者数(SIM数)は7%増の6,091万人で、そのうちGlobeポストペイド加入者は5%減の243万人、Globeプリペイドは7%増の5,848万人(うちグローブが3,208万人、TMが2,640万人)だった。加入者1人当たりの平均収入(ARPU)は、Globeポストペイドで7%増の914ペソ、プリペイドではGlobeが22%増の148ペソ、TMが35%増の113ペソ。一方、家庭用ブロードバンド加入者数は0.4%減の174万人。そのうち、固定回線加入者数は25%減の46万人と大幅に減少した。グローブの首都圏(NCR)での5Gカバー率は98.69%、ミンダナオ・ビサヤ地域の主要都市では96.95%に達した。

 通信大手2社の2024年業績(収益等の単位:億ペソ)
企業名 総収入 増収率 純利益 増益率 携帯加入者 伸率 設備投資  伸率 
PLDT 2,084 3% 323 21% 5,900万人 2% 782 -8% 
グローブ 1,650 2% 243 -1% 6,090万人 7% 562 -20% 
(出所:各社の事業報告書などより作成、純利益は帰属ベース)