日本、フィリピンに総額1,716億円の円借款(5件)

気候変動対策、皆保険構築、治水、道路建設を支援

2025/03/23

 日本外務省によると、マニラにおいて、遠藤和也駐フィリピン日本国大使と、エンリケ・マナロ・フィリピン共和国外務大臣との間で、総額1,715億8,000万円を限度とする円借款5件に関する書簡の署名・交換が行われた。対象案件の概要は以下の通り。

気候変動対策プログラム(供与限度額:350億円)
 財政支援を通じて気候変動対策における優先順位の高い政策等の実行の改善・立案を支援することにより、気候変動対策資金導入のための制度・体制強化、気候変動の影響に対する強靭性の強化、低炭素社会の実現に向けた計画・実施能力の強化を図り、フィリピンの気候変動対策目標の実現に寄与するものである。

ユニバーサル・ヘルス・ケア構築プログラム(供与限度額:300億円)
 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成のために優先順位の高い政策等の実行を支援することにより、質の高い保健サービスへの公平なアクセスの改善を図り、経済の安定及び社会開発の促進に寄与するものである。

ダバオ市バイパス建設計画(第三期)(供与限度額:463億3,800万円)
 ミンダナオ島ダバオ市において、南端部と中央部にかけてバイパス道路を建設することにより、増加する交通量への対応及び市内の交通渋滞の改善並びに同市を核とするミンダナオ島最大の経済圏内の物流改善を図り、もってミンダナオ島の経済発展に寄与するものである。本計画では、本邦技術活用条件(STEP)が適用され、日本の高度な技術(全断面早期閉合工法(掘削技術)、AGF-P工法(NATM補助工法)、開削トンネル工法)が活用される。

パシグ・マリキナ川河川改修計画(フェーズIV)(第二期)(供与限度額:457億5,900万円)
 マニラ首都圏において、パシグ・マリキナ川の河川改修及び可動堰等の建設、並びに洪水に対する非構造物対策を実施することにより、マニラ首都圏中心部の洪水被害の軽減を図り、同地域の脆弱性の克服及び生活・生産基盤の安定に寄与するものである。なお本計画では、本邦技術活用条件(STEP)が適用され、運搬性に優れており、通常の鋼矢板と比較して強度を保ったままコストを抑えることができる「ハット型鋼矢板+H型鋼工法」、及び振動・騒音抑制といった環境配慮の必要性から、本邦企業が強みを有する技術である「ウォータージェット併用バイブロハンマ工法」が活用される。

カビテ州産業地域洪水リスク管理計画(第二期)(供与限度額:144億8,300万円)
 カビテ州において、分水路の建設・改修及び河川改修といった洪水対策を実施することにより、産業集積地を中心とする同地域の洪水被害の軽減を図り、持続的・安定的な経済発展に寄与するものである。